将棋の藤井聡太叡王(竜王・王位・王将・棋聖=19)が出口若武六段(27)の挑戦を受ける、第7期叡王戦5番勝負第2局(主催・不二家、日本将棋連盟)が15日、名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われ、藤井が出口に千日手指し直しの激戦の末、75手で勝利した。藤井は開幕2連勝、初防衛へあと1勝に迫った。

タイトル戦初登場の出口はかど番に追い込まれた。第3局は24日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われる。

第1局に続き、相掛かりの戦型となったこの日の対局は、終盤で千日手が成立し無勝負となった。同日夕から指し直し局が行われ、再び相掛かりを採用した藤井が、中盤からリードを広げ、鮮やかに寄せきった。

終局後、藤井は「途中から踏み込んでいったが、ちょっと判断のつかない局面が多かった」と振り返った。

勝ち続けながら進化を遂げている。タイトル戦での千日手は初めてだった。形勢は難しいところがあったが、藤井に流れがあった局面だった。「序盤で失敗してしまい、どう勝負するかという展開だった。千日手は仕方がないかなと思った」。負けないことを優先した大一番ゆえの選択だったのか。

これでタイトル戦での通算成績は27勝4敗。タイトル戦は通算8回目の登場となるが、タイトル戦での敗退はない。21年の王位戦7番勝負第5局から続くタイトル戦の連勝を12に伸ばした。最高峰の舞台で、この数字は驚異的だ。

本年度は保持する5タイトルの防衛、これから本戦が始まる棋王の獲得、年度内6冠を目指す。偉業達成に落とせないのが、本年度の初のタイトル防衛戦となる叡王だ。「しっかり内容を振り返り、次につなげたい」。無双の19歳が一気に叡王連覇を狙う。【松浦隆司】

 

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