「犬神家の一族」「悪魔の手毬歌」などの作品で知られる推理小説作家、横溝正史氏の新たな資料が発見されたと、「横溝正史旧蔵資料」を所蔵する二松学舎が18日、発表した。今回存在が明らかになったのは、軽井沢の別荘に残されていたもの。代表的な長編「仮面舞踏会」、時代小説「人形佐七捕物帳」の草稿、「悪霊島」のメモ、軽井沢の地図、執筆用具などだ。昨年12月に遺族から寄贈され、調査を進めていた。

東京・成城の自宅にあった資料は、二松学舎が2007年(平19)11月に神田の古書店で購入して以来、数多くあるが、軽井沢の資料は今回が初。「仮面舞踏会」は62年7月に雑誌で連載が始まり、翌年2月に中断した。その後、74年に「新版横溝正史全集」第17巻として刊行された。

横溝正史氏は64年から10年間、新作を出してない。「今回の資料から、この期間も創作意欲を持ち続けていたと思われる。軽井沢を舞台にした仮面舞踏会も、地図で舞台設定を見直して、内容を修正しようとしていたのではないか」と二松学舎では分析する。資料調査はまだ続いているが、本年度内には何らかの形で公開したいとしている。