夏の参院選の公示(6月22日公示、7月10日投開票が有力)まで残り1カ月あまりと迫り、立候補予定者たちの動きが本格化している。全国屈指の激戦区となる東京選挙区(改選数6)では21日、前日に出馬表明した無所属の作家乙武洋匡氏(46)が街頭演説デビューした。同じく前日に同選挙区への出馬を表明したれいわ新選組の山本太郎代表(47)もマイクを握るなど選挙戦モードに突入している。

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大激戦区の東京選挙区から無所属で出馬表明した乙武氏は、初の街頭演説の地に決めていたという世田谷区の用賀駅前で第一声を上げた。4歳から中学校まで用賀で育ち、「バリアフリーなんていう言葉がなかった時代に、車いすに乗った私を受け入れてくれた」と当時の同級生ら約100人の聴衆に語った。「共生社会。そんな言葉がなかった頃から用賀の町は、その共生社会を実現してくれていた。それが、まさに政治家として実現したい社会」と訴えた。2016年の不倫報道で参院議員東京選挙区からの出馬断念に追い込まれたことにも触れ「私自身も6年前にひどい不祥事をおかし、立候補できなくなってしまった」と謝罪した。

聴衆との対話では4人の小学生から「いじめのない学校にしたい」との要望に「子どもたちは何でそんなことをするんだろう? 大人を見ているからです。大人がそうしているから」などと根本的な問題点を指摘した。

無所属で組織もなく、電動車いすを使用する乙武氏は、選挙戦ではSNS(交流サイト)やユーチューブの積極活用を思い描いていたが「(街頭には)リアルでお会いする良さがある。同じ空間にいるからこそ伝わる熱もある。引き続き街頭での活動を大切にしていきたい」として「この短い腕で良ければ握手もしていただくことも」と笑顔で語った。

東京選挙区は13年の参院選東京選挙区で66万票以上を獲得し、初当選した実績と知名度のあるれいわの山本代表が電撃参戦し、混沌(こんとん)に拍車がかかる。乙武氏は「向き合うべきは他の候補者ではなくて、有権者のみなさんに対して自分の伝えたいことを精いっぱい、伝えさせていただく」と激戦を見据えた。

東京選挙区(改選数6)は立憲民主党の蓮舫、公明党の竹谷とし子、共産党の山添拓、自民党の朝日健太郎の現職4氏に、元「おニャン子クラブ」のメンバーで自民党公認のタレント生稲晃子、立民の松尾明弘、日本維新の会の海老沢由紀、ファーストの会代表の荒木千陽、作家で無所属の乙武洋匡氏ら新人各氏に、れいわ新選組の山本太郎代表も出馬を表明している。【大上悟】