東京・上野動物園のジャイアントパンダの双子が23日、無事に1歳の誕生日を迎えた。同園によると、双子の雄シャオシャオ、雌レイレイと母親シンシンが暮らす西園「パンダのもり」はこの日朝から、室内展示室と屋外運動場が行き来できるようにされ、子どもたちはいつも通り、木に登るなど元気に遊んでいたという。

昨年6月誕生時の双子の体重は百数十グラムだったが、今年6月19日=361日齢時点ではともに27.35キロと、約200倍まですくすく成長。同園は「誕生直後の、あのピンク色の小さい赤ちゃんが、ここまで大きくなったかと思うと不思議な気持ちもする。誕生直後からの飼育係や獣医師のつきっきりの世話もさることながら、シンシンがきちっと育て上げてくれたことに感謝したい」(教育普及課・大橋直哉課長)とコメント。まだ1年しかたっていないとし、今後も気を引き締めて飼育していくとした。

同園にとっては初めての双子の誕生。コロナ禍も重なり、緊張と不安は大きかった。飼育展示課長の冨田恭正副園長は「祝う会」で、誕生時の心境を「緊張感に包まれたことを、今も忘れない。不安がなかったかと言えばうそになる」と振り返った。スタッフは、細心の飼育管理、感染対策の徹底、さまざまなサポートなどで乗り越えてきた。

協議してきた中国の専門家の派遣は、コロナ禍で断念。中国側が出産時に24時間の相談体制を取ってくれることになり、多くの経験を持つ和歌山県のアドベンチャーワールドの助言も得ながら準備を進めた。昨年6月18日から24時間体制を取り、10月15日朝まで実施した(母子同居後の10月23~27日も)。

出産直後は原則、飼育係2人+獣医師1人のチームを3組作り、24時間体制で子どもを入れ替えながら管理した。産室の母子には飼育係がおり越しに寄り添い、授乳、採食、睡眠などの状態を観察、1分ごとに記録。母親にはエサを差し出したり、電解質の水分を口元に持っていったりしてサポートを続けたという。

この間、担当する20~40代の飼育係と獣医師は、事務所への出入りを最小限にして動物舎に直接出勤するなど、他の職員との接触をできるだけ避けた。「だれでも飼育管理できる動物ではなく、世話する人がいなくなると大変なので、体制を維持できるよう留意した。幸い、感染者や管理上の不都合は、今のところ発生していない」(大橋氏)という。

23日には、アドベンチャーワールドもツイッターに「1歳のお誕生日おめでとうございます! たくさんの愛情に包まれ、これからもますます元気に健やかに成長されますよう心よりお祈りいたします」とお祝いのメッセージを投稿した。

お姉さんのシャンシャンは、1歳半(18年12月)で独り立ちした。双子もこのまま順調に成長すれば、やがてその日がくる。