第26回参院選(10日投開票)は3日、選挙戦ラストサンデーを迎え、各党党首や幹部らが全国で支持を訴えた。

自民党の岸田文雄首相は東京・渋谷で東京選挙区(改選数6)に新人生稲晃子氏を皮切りに現職朝日健太郎氏、その後は北海道2カ所の応援に駆けつけた。菅義偉前首相も自身に近い朝日氏の応援でフル回転するなど、ポスト参院選をにらみ、派閥を中心とした勢力争いの動きが浮き彫りとなっている。

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猛暑のラストサンデーに各党党首、幹部らが列島を駆け抜けた。自民党総裁の岸田首相は東京・渋谷駅ハチ公口前でアイドルグループ「おニャン子クラブ」元メンバーのタレント生稲氏の応援にNHK番組から駆けつけた。俳優の石坂浩二氏とともに壇上で「私も若いころテレビで生稲さんの姿を観ていた、ことを熱い思い語る生稲さんを見ながら思い返した」などと満面の笑みを浮かべた。

生稲氏は安倍晋三元首相が率いる安倍派の中川雅治元環境相の引退に伴う擁立候補で、安倍氏も公示日(6月22日)に生稲氏の第一声に駆けつけ、その後に岸田氏も公示日の応援演説を行った。参院選後の党内運営に最大派閥を率いる安倍氏との協力関係は不可欠で「生稲推し」にも力が入る。生稲氏の街頭演説を終えると浅草・雷門前で朝日氏の街頭演説でマイクを握り、党総裁として公認ダブル当選の尽力に抜かりはない。

岸田氏がマイクを握ったハチ公口から目と鼻の先の道玄坂交差点では浅草から移動して来た朝日氏の応援演説にバルセロナ五輪競泳平泳ぎの金メダリスト岩崎恭子氏も駆けつけ、菅前首相も熱弁を振るった。昨年10月の党総裁選で再選を断たれた菅氏は岸田首相とは距離がある。参院選では同じ無派閥で親交の深い朝日氏の支援に奔走し、この日も東京・銀座一丁目から有楽町駅前まで朝日氏と練り歩いて、写真撮影やグータッチに応じるなど大サービスだった。菅氏は菅グループから菅派立ち上げの動きをみせ、ポスト参院選をにらんだ勢力争いが浮き彫りとなっている。

共同通信社や報道各社の情勢調査では、自民党の堅調ぶりと立憲民主党の苦戦などでほぼ一致し、東京選挙区での朝日氏、生稲氏の先行を伝えている。情勢予測は最終盤まで変化し、最終結果とは異なるケースは少なくない。自民党は楽観ムードを戒める文書を通達して引き締めに躍起だ。朝日氏の応援演説で平沢勝栄元復興相は「マスコミの予想記事にどれだけだまされ、泣いたか分かりません。予想記事は相手にしちゃだめです。予想は逆から読んだらウソよ」などと強い警戒感をあらわにした。