10日に投開票された参院選で東京都国分寺市では、若者を中心とした有志が「国分寺の投票率を1位にプロジェクト」を進めていた。

結果は19年の参院選から5・4ポイントアップし、61・9%。全国平均の52・05%を10ポイント近く上回った。東京都の市区部では、投票率の順位を19年の参院選から2つ上げ、文京区、武蔵野市に次ぐ3位となった。プロジェクトの発起人の1人、鈴木弘樹さん(23)は「選挙を身近に感じたり楽しんだりする人が増えた」と振り返る。

プロジェクトは21年6月に発足。鈴木さんが務めているカフェ「クルミドコーヒー」(国分寺市)で開いた選挙について語る勉強会から派生した。若年層の意見が反映されにくいことに、問題意識を持っていたという。プロジェクトのテーマは「選挙はお祭り」。鈴木さんは「いかに街から盛り上げていけるかを考えている」と力を込めた。

参院選ではさまざまな企画を行った。10日の投開票日にあわせて駄菓子選挙を実施。70候補駄菓子の中で森永製菓の「ラムネ」が1位当選した。8、9日はJR国分寺駅前にコーヒー屋台を出店。選挙について気軽に話せる場を設け、期日前投票所の案内をしたという。そのほか東京選挙区の立候補者34人中29人にインタビューを行い「自分自身をどんな性格だと思うか」「人生で1番うれしかったこと」など、候補者の素顔に迫る動画を配信した。投開票日には開票速報を見守るパブリックビューイングを行った。

鈴木さんは投票率が上がったことについて「僕らのおかげだとは思っていない。東京全体が上がったところが影響したんじゃないかな」と冷静に分析した。その上で「選挙が変われば政治も変わると思う」と話した。活動を続けていき、投票率全国1位の街を目指している。【沢田直人】