米フロリダ州パームビーチに所有する別荘マー・アー・ラゴが8日に米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索を受けたトランプ米前大統領が、退任時にホワイトハウスから持ち出したとされる書類などを「大統領の記念品」として将来販売するつもりだった疑惑が浮上した。FBIは捜索の理由を明かしていないが、核兵器に関連した機密文書などの捜索が目的だったと米ワシントン・ポスト紙は報じている。

家宅捜索を受け、1990年に発売されたトランプ氏の著書「トランプ:サバイビング・アット・ザ・トップ」でゴーストライターを務めたジャーナリストのチャールズ・リーセン氏が、「トランプ氏の元ゴーストライターとして、私にはトランプ氏が利益目的で販売するために文書などを持ち出した可能性があると指摘する義務があると思う」とSNSに投稿した。何を持ち出したのかは分からないとしながらも、コレクションとしてトランプ支持者にとって価値のあるトランプ氏が署名した書類や野球の試合で着用したジャージーのようなアイテムである可能性を示唆している。

リーセン氏はニューズウィークリー誌のインタビューでも、トランプ氏が政界入りした時の資金調達方法を観察してきたと述べ、「さまざまな金もうけの戦術を使用してきた。だまし取れるものがあれば、だまし取るだろう」と語っている。トランプ氏は弁護士ら関係者の建物への立ち入りを禁じられたと述べ、FBI捜査官が証拠を捏造(ねつぞう)した可能性があると主張している。地下倉庫や金庫などの捜索も行われたと言われており、押収されたものの中にはオバマ元大統領からの手紙や北朝鮮の金正恩総書記を含む各国の首脳らから受け取った書簡なども含まれていたことが指摘されている。

次男エリック氏の妻、ララ・トランプ氏はFOXニュースに出演し、「義父は新聞や雑誌の切り抜き、写真など個人的に所有することが認められた書類などを保存しておくのが好きだった」と述べ、法的に許可されたものだと反論。メラニア夫人の衣装部屋まで調べたと述べ、FBIの捜索は不当だと批判している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)