昨年9月に84歳で亡くなった劇画家さいとう・たかをさんの「お別れの会」が29日、都内のホテルで行われ、親交の深かった漫画家仲間が温かい人柄がにじむ思い出を披露して、しのんだ。

友人代表として最初に弔辞を述べた「あしたのジョー」のちばてつやさん(83)は「三十数年、2カ月に1回くらいゴルフをした」と「ゴルゴ」ならぬ「ゴルフ・さいとう」の魅力を明かした。「30センチ手前からダフってもドラコンをとるパワー。パターもスナイパーのように冷静に沈めていた。長いパットを決めたあとはみんなの顔を見渡して『どうだ』という顔をするのがかわいいんです」。「釣りバカ日誌」の北見けんいちさん(81)も「顔に似合わず優しい人」と表現した。

「アリエスの乙女たち」の里中満智子さん(74)は「輝子夫人とお付き合いが始まったころから、オノロケが始まった」とし「一緒になって3年くらいたって、『この人が男でも一緒に暮らしたい。人生の奇跡だ』と言っていた」と明かした。【松本久、鎌田直秀】

▼さいとうさんが好きだった野の花をイメージした祭壇には、代表作「ゴルゴ13」の単行本もズラリと並び、脇には「鬼平犯科帳」などの劇画が飾られた。別会場にはコミック約600冊、雑誌約150冊も展示。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の秋本治さん(69)、「デビルマン」の永井豪さん(77)ら漫画家だけでなく、アニメ「ゴルゴ13」でデューク東郷の声を演じた俳優舘ひろし(72)、政治家の麻生太郎氏(82)、東京都の小池百合子知事(70)、大相撲の安治川親方(43=元関脇安美錦)ら約330人が出席した。