細田博之衆院議長が29日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と複数の接点があったと認める文書を初めて公表した。10月3日召集の臨時国会で野党の追及は避けられず、岸田文雄首相は苦しい局面を迎える。

細田氏が今回、接点を公表した背景には、野党側の批判に加えて、身内の自民党側の意向もあった。旧統一教会と関係性が深いとされている故安倍晋三元首相が率いた安倍派には教団との接点がある議員が多く、安倍派の前身である細田派会長を務めた細田氏も多くの関係が指摘されていた。昨年11月の議長就任に伴って自民党会派を離脱した細田氏は、自民党が8日に公表した旧統一教会との接点に関する調査対象外となっていた。

だが、細田氏が臨時国会で追及されれば、議事運営はもちろん、政権全体へのダメージになりかねない。党幹部は「細田氏は教団の票を取りまとめたとも言われている。調査対象に加えるか、どこかで説明しなければ済まない」と頭を悩ませて細田氏に説明を打診。 細田氏は重い腰を上げたものの、紙1枚で会見なしの対応は野党からの反発が強まりそうだ。

文書によると「2019年10月の国際会議については招待があったので、出席してあいさつしたものである」などと計4回のあいさつや会合出席、関係団体から取材を受け、昨年6月に日本・世界平和議員連合懇談会の名誉会長に就任したことも認めたが、いずれも以前から指摘されたものばかり。「地元の関係団体が選挙において私を支持するとの意向があったことは事実である」とも認めた上で「関係者は、私が知る限りでは普通の市民であり、法令に反する行為を行っているとの認識はない」と強調した。

内閣支持率の急落に直面する岸田首相は「三権の長たる議長としてご自身の判断で適切に対応すべきだ。立法府として判断されるものと考える」としたが、荒れる臨時国会の矢面に立たされる。