日本将棋連盟は30日、小山怜央アマ(29)が提出した「棋士編入試験受験申込」を28日に受理したと発表した。小山アマは今月13日に行われた公式戦に勝って10勝5敗とし、「現在の公式戦において、最も良いところから見て10勝以上、

なおかつ6割5分以上」というアマチュア、女流棋士の棋士編入試験受験資格を満たした。プロ棋士養成機関「奨励会」の在籍経験がなく、アマが受験資格を得たのは初めて。

小山アマは1993年(平5)7月2日、岩手県釜石市出身。釜石高から岩手県立大卒。北島忠雄七段(56)門下。14年には学生名人、15年アマ名人、16年アマ王将、22年アマ竜王など、アマチュアのタイトルを獲得している。16年には奨励会三段リーグの編入試験を受けたが、2勝3敗で不合格だった。大学卒業後はリコーのグループ企業に就職し、社会人の強豪チームである同社の将棋部にも在籍していた。現在は横浜市在住し、将棋講師を務めている。

13日の対局終了後は明言を控えていたが、「今月をメドに考えてみたい。受けるときは正式に言いたい。基本的には前向きに考える」としていた。また、このような制度について、「制度があるおかげで、プロへのチャンスがあるのはありがたい。年齢的に最後のチャンス。チャンスがあるなら挑戦したい」と強調していた。

試験は、若手棋士との5番勝負。11月から1カ月に1対局ずつ行われ、試験日と試験会場は小山アマと試験官となる対戦相手の日程を調整して決定する。対戦相手は、第1局から順に徳田拳士四段(24)岡部怜央四段(23)狩山幹生四段(20)横山友紀四段(22)高田明浩四段(20)。持ち時間は各3時間。第1局目に振り駒で先手後手を決め、以下は5局まで先後交代。3勝すれば合格する。

過去には、今泉健司五段(49)と折田翔吾四段(32)がこの試験を突破した。現在、女流棋士の里見香奈女流5冠(30)が受験し、2連敗している。

小山アマは、「厳しい戦いになると思いますが、力を出し切れるようにしっかりと調整できたらと思います」とコメントした。