藤井聡太竜王(20)が初防衛を目指して広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、将棋の第35期竜王戦7番勝負第1局(7・8日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」)の前夜祭が6日、東京・渋谷「セルリアンタワー東急ホテル」で行われた。

両者のタイトル戦での対決は初。公式戦では藤井の5勝1敗で、約1年ぶりの対戦となる。藤井は約1カ月前、王位戦を制し、タイトル戦負けなしの10連勝とした。「同じ持ち時間8時間の王位戦を振り返りながら、竜王戦に向けて準備した」という。

同時に広瀬の棋風も警戒した。「終盤が非常に鋭く、そこに至るまでの中盤の組み立てが素晴らしい。7番勝負は先手後手が交互になるので、やってみながら考えていけたら」との構想もある。

苦い思い出がある。唯一の黒星となった、3年前の王将戦挑戦者決定リーグ戦最終局だ。広瀬と4勝1敗で並び、勝った方が渡辺明王将への挑戦権獲得という直接対決となった。終盤、受けを間違えた藤井が自玉を詰まされた。結果的にタイトル初挑戦は翌20年6月へと持ち越された。

広瀬とは初顔合わせとなった18年2月の朝日杯オープン戦決勝で白星を挙げ、史上最年少、15歳6カ月での公式戦初優勝達成している。昨年の直近3局(竜王戦2組、叡王戦予選決勝、王将戦挑決リーグ)はすべて挑戦権を争うなかで広瀬を下し、史上最年少5冠へと勝ち上がった。

今回も大きな対局でぶつかる。しかも、渡辺明が05年に達成した21歳7カ月の竜王初防衛の最年少記録の更新も可能だ。「1手1手しっかり考えて、見ていただいている方にも楽しんでいただける、良い内容の将棋にしたいと思います」。初防衛に向け、決意を表明していた。

○…広瀬が4年ぶりの復位を目指す。4年前の竜王戦では、タイトル獲得通算100期を目指した羽生善治竜王(当時)を4勝3敗で下し、無冠へと追い込んだ。今期は、「藤井さんのタイトルを奪取してからの活躍ぶりが際立っていて、分析すればするほど自分に分が悪い」と話す。ただし、付け入る隙もあるとみている。「藤井さんの7番勝負は、すべて4勝1敗以上のスコア。7局まで行った方が皆さん喜ぶと思うので、なるべくそのスコアに持って行けるようにできたら」。混戦に持ち込みたい。