高校野球だけじゃなく、熱波甲子園の優勝旗も白河の関を越えた! サウナ職人「熱波師」の日本一決定戦「第14回熱波甲子園2022秋」が17日、横浜・ファンタジーサウナ&スパおふろの国で行われ、初出場の「北投(ぺいとう)の湯いわき健康センター」(福島県)が東北勢初制覇を成し遂げた。

チームの水野博貴さん(熱波師名・ぺんぺん=28)が「奇跡」と驚きの表情を浮かべた一方、宮野尊晴さん(ぽんた=38)は「地元でも全国優勝したパフォーマンスを披露したい。コロナで全国の温浴施設はまだまだ元気がないので、東北からサウナ界を盛り上げたい」と今回初めて作られた白を基調とした優勝旗を掲げた。

熱波師検定資格を得て約1カ月のチームのルーキー、吉田典史さん(ノリ=46)の先制パンチが効いた。熱波を送るタオルの風力を競う「テーブルペットボトル落とし」で参加15チーム中最高の4本を倒し、風の速さを争う「サウナ風速計」との合計でトップに立った。野球や空手経験を生かした力自慢は「ピンポイントで風を起こすのがコツ」と胸を張り、チャンピオンベルトを巻いた。

最終種目の「サウナおもてなし演舞」では、紙芝居風に台風直撃の天気予報をテーマにした。「警報」「注意報」などをパネルに表示して風の強さを調整。時には「ブンブン丸」が登場し、タオルをフルスイングしてサウナ内に風を巻き起こした。地元のセンターでの経験しかなく、初会場でのアウェー環境に戸惑い、同種目の順位は全体11位と課題は残ったが、逃げ切った。

総合2位には「積善(しゃくぜん)温泉美笹のゆ」(大阪府)、3位には春準優勝だった「天然温泉湯舞音(ゆぶね)龍ケ崎店」(茨城県)が入った。湯舞音は「おもてなし演舞」では1位。サウナの楽しみ方を説明しながら、「YUBUNEPPU!」のかけ声と力強いタオルさばきに、サウナ客は手拍子で盛り上がり一体となった。「熱波僧 真炎(しんえん)」は垂坂山観音寺(三重県)住職と熱波師の二刀流で挑んだ。野球のユニホームで臨んだ「京ヶ島天然温泉湯都里」(群馬県)、押すと「ぴよぴよ」と音が出る小さいアヒルのおもちゃを配った「サウナと天然温泉じょんのび館」(新潟県)、音楽を流してミージカル風なサービスを提供した「おふろcafeハレニワの湯」(埼玉県)など、趣向を凝らしたチームも多かった。

優勝チームと同じ福島県から出場した「郡山湯処まねきの湯」は、猫のかぶりもので登場した。春の10位からの雪辱を果たせず、優勝を同県から初出場チームに先を越されてしまっただけに、支配人の松本明子さん(44)は「悔しいを通りこして、おもしろくないってかんじ」と話す一方、「いろいろな熱波師さんに出会えて(演舞を)見られたことは次につながる。東北、福島からサウナで癒やしや健康のきっかけにしていただけるよう魅力を伝えていきたい」と巻き返しを誓った。

実行委員長の林和俊さん(48)も「いま熱波が熱いのは関東、関西、九州。東北から優勝が出て全国に熱波のおもてなし文化が浸透していったらうれしい」と期待。今後は春の優勝チームとの「チャンピオンカーニバル」が開催される。【鎌田直秀】

◆熱波甲子園 サウナ職人「熱波師」の技術や意識のレベル向上を目的に、日本一を競う大会。春は横浜で、秋は各地で開催。2022秋大会は、テーブルペットボトル落とし(水10センチを入れた2リットルペットボトルをボウリングのピンのように並べ、公式バスタオルで2回仰いで何本倒せるか)、サウナ風速計(公式バスタオルで3回仰いだ風速を計測)、おもてなし演舞(各店舗で行うサウナ接客を5分間×2回で審査)の3種目。11年に第1回が実施され、17年からチャンピオンカーニバルを新設。過去には男女混合、女子、プロ、社会人、ソロなど部門を分けた大会もあった。