月全体が地球の影に入る「皆既月食」が8日午後7時16分ごろ、始まった。月食は午後6時すぎ、月の一部が欠ける「部分食」がスタート。皆既食は同8時42分まで86分間続き、同9時49分に部分食が終わる予定。天気が良ければ全国どこでも観察でき、同じ時刻で進行する。

東京・築地でも、澄み渡った秋の夜空に満月が鮮やかに浮かび、左下から徐々に暗くなり、皆既食になると赤銅色に見えた。この日は天候に恵まれた地域が多く、珍しい天体ショーが各地で最後まで観察できそうだ。

今回は月食の最中に天王星が月に隠れる「天王星食」も、ほとんどの場所で起きる。東京近辺より西の地域では月の皆既食の最中に、それより東の地域では皆既食が終わった後の部分食中に、天王星が月の後ろに入りこむ「潜入」が始まる。天王星は「空が十分に暗い場所で目の良い人がやっと見えるほどの明るさ」(国立天文台)。今回は皆既食によって月が暗くなるため、比較的観察しやすい状況だが、国立天文台は「はっきりと観察するには、双眼鏡や望遠鏡が必要」としている。

天王星食の時間は、潜入開始が、那覇で午後8時13分、京都で同31分、東京で同40分など、地域によって異なる。

日本で皆既食中に「惑星食」が起こるのは、本能寺の変の2年前にあたる1580年(天正8)7月26日の「土星食」以来、約442年ぶり。また、日本で次回、皆既食中に惑星食が起こるのは、322年後の2344年7月26日の土星食となる。