2024年の次期米大統領選への出馬を表明した共和党のトランプ前大統領が25日、米ラッパーでファッションデザイナーでもある「イェ」ことカニエ・ウェスト氏(45)と会食した際に、白人至上主義者として知られる人物も同席していたことが発覚して物議を醸している件で、「カニエが連れてきた友人で、素性を知らなかった」と釈明した。同じく次期大統領選に出馬の意向を示すウェスト氏は、22日にトランプ氏のフロリダ州パームビーチの邸宅マー・ア・ラゴを訪れ、夕食を共にしていた。

この食事会の席に白人至上主義者として有名な極右政治評論家ニック・フエンテス氏が同席していたと複数のメディアが報じ、批判を浴びていた。トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、ウェスト氏からマー・ア・ラゴで食事をしたいとの申し出があった後、「予告なしに突然、素性が分からない3人の友人を連れて現れた。夕食は終わり、特別な出来事はなく、彼らはすでに空港に向かった」と投稿した。

ウェスト氏もSNSに白人至上主義や反ユダヤ主義の投稿をするなどしてアディダスなど大手スポンサーとの契約を打ち切られて話題になっている渦中の人物だけに、「最悪の悪夢」だと関係者は対応に追われている。「人種差別と反ユダヤ主義に関する話題はなかった」と関係者は述べ、フエンテス氏は「統計学者」だと名乗っていたと説明している。

ウェスト氏は夕食の様子を自身のSNSに投稿し、トランプ氏に「自身の副大統領にならないか」と声をかけ、「(立候補しても)お前は負ける」と怒られたことなどを明かしている。ウェスト氏はかつてはトランプ支持者として知られ、トランプ氏が大統領だった2018年にはホワイトハウスで面会もしている。しかし、20年の大統領選で自らが設立した「バースデー・パーティー」から突如出馬を表明し、トランプ氏とは距離を置いていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)