東京・神宮外苑地区で計画が進む再開発の大幅な見直しを求めて、超党派の国会議員による議員連盟が11月30日、発足し、国会内で初の総会を開いた。代理を含め各党から16人が参加。議連の名称は「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」で、発起人代表に、自民党の船田元(はじめ)衆院議員が就任した。

船田氏は「東京五輪が(再開発の)ひとつのきっかけになったと思うが(計画では今後、同地区に)超高層ビルが3棟建設されるなど、ゆるやかな神宮外苑の景観が崩れてしまう。樹木の伐採についても、一部修正が行われ、本数はやや減ったとはいえ、樹齢100年を経過した樹木の大半が伐採される」と、現計画の問題点を指摘した。

一方、毎年黄葉の季節に多くの見物客でにぎわい、東京を代表する観光スポットでもある「イチョウ並木」も、大きな影響を受けると指摘。現在の秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所が入れ替わることに伴い、新しく建設される神宮球場がイチョウ並木に近接することを問題視。船田氏は「並木に近い、8メートルのところまで神宮球場の壁が迫る。壁の高さも二十数メートルで、イチョウの高さと同じくらいの壁ができる」とした上で「工事で、根が一部切られることも考えられる。日照が悪くなれば、イチョウ並木は非常に危機にひんすることが、かなりはっきりしている」と訴えた。

議連では、現計画のままでは、イチョウ並木を含めた神宮外苑地区の景観、自然が損なわれるとして、現計画の見直し、大幅な計画変更を求める方針。年明けに議連として決議を行った上で、関係各所に働きかけを始める方針。イチョウ並木については、「名勝」への指定を、東京都や港区、新宿区に求める活動もすでに始まっている。

総会では「都民の憩いの場で、世界的にみても重要な観光スポット。再開発でだめにしてしまうのは、日本の恥ではないか」などの声もあったという。

船田氏は、イチョウ並木の近くに自宅があることから、地元住民の1人として問題意識を持っていたという。今年8月、東京都の環境影響評価(アセスメント)審議会が、答申後も事業者側の対応を継続的に見守るという異例の言及をしたことを受け、活動を始めたとした。議連の立ち上げを機に、世論も意識した活動も行う方針。

この地域では、2036年の完成に向けた大規模な再開発の計画が予定されている。今年2月、地区内で1000本近い樹木が伐採される予定であることが分かり、地元住民らから反対の声が起きていた。事業者側はその後、地区内で予定した971本の樹木の伐採を、556本に減らすとしている。