政府は1日午後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る被害者救済新法の法案を持ち回り閣議で決定し、国会に提出した。5日の衆院本会議で審議入りする見込みで、10日に会期末が迫る今国会での成立を目指している。

政府は「霊感」などで不安をあおる不当な寄付や勧誘、借金や生活に必要な事業用資産の処分による寄付を禁じ、違反した場合には1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金などの刑事罰を科す修正案を盛り込んだ。岸田文雄首相はこの日の参院予算委員会で「現行の日本の法体系で最大限、実効的な法案とすべく、条文化を進めてきた」と説明した。

一方で野党が求めるマインドコントロール(洗脳)下での寄付や勧誘などについて信者の自由意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにするなどの配慮義務規定を設けたが、実効性は疑問視されている。立憲民主党の安住淳国対委員長は「実効性が高まるように建設的な提案をしている」などとした。法案成立へ向け、与野党がどこまで歩み寄れるか。攻防は激しさを増しそうだ。【大上悟】