囲碁の最年少プロで、大阪の小学3年生の藤田怜央初段(9)が1月31日、大阪市の関西棋院で打たれた第49期名人戦予選Cで牛窪義高九段(75)を破り、史上最年少の9歳9カ月で公式戦初勝利を挙げた。仲邑菫三段(13)の持つ10歳4カ月の最年少記録を更新した。

持ち時間は各3時間。年齢差は66歳。藤田は終盤に入っても持ち前の積極的な攻めを続け、202手で白番中押し勝ちした。プロ4戦目での初勝利に「うれしい」と喜び、「難しい碁だった」と振り返った。キャリア60年、関西棋院の棋士会会長を務める牛窪は「正確に手が読め、よく研究している。たいしたもんだ」と絶賛した。

理学療法士の父、陽彦(はるひこ=42)さんは「入段したときよりもうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。研究熱心な姿勢は囲碁だけではない。最近は動物図鑑にハマっている。川辺でカモなどを見つけると、夢中になって何時間でも観察する。

対局を見守った師匠の星川拓海五段(39)は「今からハードな“仕事”が待っている」。プロ初勝利のご褒美として、近くの公園で鬼ごっこを約束させられたという。9歳が大きな1歩を踏み出した。【松浦隆司】