参議院は8日午前、昨年7月の初当選から1度も国会に登院していない同党のガーシー(東谷義和氏)参院議員を懲罰委員会に付すことを決定した。ガーシー氏が、この日の参院本会議を欠席したことを受けて、議院運営委員会理事会で協議が行われ、自民党の石井準一委員長ら理事が、尾辻秀久参院議長に懲罰委員会に付すことを申し入れ、尾辻議長は「速やかに懲罰委員会へ付託する」とした。

午後から鈴木宗男懲罰委員長と理事2人による初協議が行われ、9日に懲罰委員会の理事懇談会、10日に懲罰委員会を開会する見通しを示した。鈴木委員長は個人の見解とした上で「時間をかけないでスムーズに進めていきたい」とするなど、ガーシー氏への処分検討へ向けた動きが加速している。

尾辻議長は1月30日、ガーシー氏に対し、国会法に基づいて、国会出席を促す「招状」を1949年以来、74年ぶりに発出した。国会法第124条は議員が正当な理由なく、召集日から7日以内に召集に応じない場合は議長が招状を発し、受け取った日から7日以内に出席しない場合は懲罰委員会に付すとしている。6日以降に開会された、この日の本会議や委員会の欠席が該当する。

ガーシー氏は当選前からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在し、昨年は2度の臨時国会、1月召集の今通常国会も欠席を続けている。ガーシー氏は3月上旬に帰国して国会に初登院することを表明している。参院本会議前にNHK党の立花孝志党首は尾辻議長に、この日の本会議を欠席する理由を説明した文書を手渡した。会見した立花氏は「最終的には3月に戻って来るか、どうかについて決めかねている状況」と、ガーシー氏の3月帰国も不透明とした。

国会議員が国会欠席を理由に懲罰委員会に付された前例はない。懲罰は重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告がある。処分が下された場合、参院では2013年に無許可で北朝鮮に訪問したアントニオ猪木参院議員が30日間の登院停止となって以来となる。

立花氏は懲罰委員会に付されることは受け入れるとした上で「懲罰になったとしても全力で説明させていただきたい。除名になるようなことは避けたい。万が一、除名になったとしても、次の参院議員選挙に再び、ガーシーを立候補させたい」とした。