昨年10月、国会で行われた安倍晋三元首相への追悼演説が話題になった立憲民主党の野田佳彦元首相は8日、衆院予算委員会で質問に立ち、日ロ関係や広島サミットなどのテーマで50分、岸田文雄首相と質疑を行った。

「演説の名手」として知られるだけに、「二枚舌外交だ」など厳しく問いただす一方で、ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本の対応について「どうする家康ではないが、どうする岸田で、2つの選択肢が迫られた」など、NHK大河ドラマを引用した柔らかい表現も使いながら質問を行った。

野田氏は、日本がロシアへの経済協力を凍結する中でも「ロシア経済分野協力担当大臣」を置いていることについて「分かりにくいんですよ。サミット議長国で(国際社会との)結束が大事な時に、経済協力担当大臣を置いているのは二枚舌外交でおかしいんですよ」と迫った。首相は日本企業への支援などを理由にあげたが、野田氏は「聞けば聞くほど分からない。変な誤解を残す」と断じた。

一方、ロシアがウクライナ侵攻した時の日本の制裁内容をめぐり「やってるふり制裁か厳しい措置を選ぶか。どうする家康、ではないが、どうする岸田だったが、力による現状変更は許さないという立場を示したやり方は、支持します」と述べた。

また、岸田首相が進める防衛費総額をめぐる「防衛増税」に関しては、自身が首相時代に自民、公明両党と合意した議員定数削減が、不十分な内容であることに不満を示し「議員定数削減の魂は守られないままできた。国民に(増税を)お願いするなららせめて、議員定数削減をするくらい言ったらどうですか」と迫った。岸田首相は、2016年に衆議院の定数を10削減したなどと主張し「引き続き、民主主義の根幹にかかわることなので議論を続けていくという姿勢は重要」と塩対応の答弁で、野党席からやじが飛んだ。