超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は8日、国会内で役員会を開き、米国務省でLGBTQI+人権促進担当大使を務めるジェシカ・スターン氏と約1時間、意見交換した。

LGBTなど性的少数者への差別発言で岸田文雄首相の元秘書官、荒井勝喜氏が更迭された問題を機に、2021年5月に法案がまとまりながら国会に提出されなかったLGBT理解増進法案について、政府・与党からも成立に積極的な声が出る事態になっている。

当時、同法案をまとめた議連会長代理で自民党の稲田朋美元防衛相は、会合後の取材に「私は、この法律をG7サミットまでに成立させることが必要と思っている」と、広島サミット前の法案成立の必要性を強調。「議長国でこの法律ができることは、世界に発信できるいい機会だという発言は、特使からもあった」と強調。「特使には法律をつくるに当たっての原則を教えてもらい、励みになった」と述べた。

会合には、自民党、立憲民主党、日本維新の会、共産党の議員らが出席。立民の西村智奈美前幹事長は「立憲は、差別解消法案を提出しており、その成立を目指すのが第一義的」としながらも「1年半前にまとまった(理解増進)法案があり、すべての政党が了としたという事実がある。(成立の可否は)自民党の議論次第だ」と述べ、「差別は許されない」の文言を入れることに根強い反対がある自民党内の意見集約が必要との認識を示した。

稲田氏は、文言の修正について「差別は許されないはだめだが、あってはならないはいいとか、差別の前に『不当な』をつければいいとか…。法的な意味は変わらない。(これまでも)いろんな議論があった。(慎重派の)心配を払拭(ふっしょく)すべくやっていきたい」と主張。「法律ができれば、政府が計画をつくったり調査をしたり、当事者の声を聞く受け皿もできる。大きな1歩になる」と述べ「前回は孤立無援の戦いだったが、今回は官邸、党からも必要性を言ってもらっており、力強い」と語った。

この日の会合では、荒井氏の差別発言についての言及はなかったという。