藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が史上最年少6冠を目指して渡辺明棋王(38)に挑戦する、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第2局が18日、金沢市「北國新聞会館」で行われた。午前9時から始まった対局は、午後7時27分、132手で後手の藤井が勝ち、対戦成績を2勝とした。同時に棋王初獲得と、史上最年少6冠まであと1勝とした。角換わり腰掛け銀から難解な中盤のねじり合いを制して、抜け出した。

2連敗となった渡辺は、棋王戦11連覇に後がなくなった。「局面が一段落してから、一気に攻めていったのが良くなかった」。顔は紅潮していた。午前中、89分も長考して仕掛けた。「先手2四歩(47手目)と行くと激しくなるが、代案も難しい。成算なく決戦に踏み込んだ。やむを得なかった」と言う。

第1局(2月5日、長野市「長野ホテル犀北館」)の敗戦を踏まえ、「中、終盤での大きなミスは期待できない。どれくらい勝機があるのか考えてきた。実戦に行ってどれだけ持ちこたえられるか」と話していた。午後から続いた難しい局面でも反撃及ばず、うまくかわされた。

短期決戦の5番勝負で、あっという間にかど番に追い込まれた。「目の前の1局という気持ちでやっていければと思います」。対藤井のタイトル戦は過去3連敗。2020年(令2)の棋聖戦5番勝負で史上最年少での初タイトル獲得、翌21年の棋聖戦で史上最年少での初タイトル防衛と九段昇段、昨年の王将戦7番勝負で史上最年少5冠を、盤の向こうで見てきた。

今回、史上最年少6冠への「引き立て役」にはなりたくない。第3局(3月5日、新潟市「新潟グランドホテル」)でかど番をしのいで、棋王戦10連覇中の意地を見せ、一矢報いたい。

◆棋王戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。序列は竜王、名人、王位、叡王、王座に次いで6番目(以下王将、棋聖)。全棋士と女流棋士、アマ名人が参加できる。予選トーナメントの通過者とシード者で本戦トーナメントを行って、挑戦者を決める。本戦ベスト4以上は棋王戦独自の「2敗失格制」というルールで、敗者復活戦がある。挑戦者決定戦は変則2番勝負。勝者組優勝者は2局のうち1回勝てば挑戦権を得られるが、敗者復活戦優勝者は連勝が条件となる。5番勝負は例年2~3月に開催。1990年(平2)の第15期では南芳一棋聖(当時)に3連敗したが、故大山康晴十五世名人が66歳11カ月の史上最年長で挑戦している。

【第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負・第3局以降の日程】

◆第3局 3月5日 新潟市「新潟グランドホテル」

◆第4局 3月19日 栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」

◆第5局 3月29日 東京都渋谷区「東郷神社」