将棋の藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明棋王(38)に挑む第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第3局が5日、新潟市の「新潟グランドホテル」で行われる。ここまで2連勝の藤井が初の棋王と史上最年少6冠を獲得するか、渡辺が反撃を開始するか。決戦前日の4日、両対局者は現地入りし、対局場の検分などをこなした。

鉄道大好きの藤井は「乗り鉄」をして新潟へやってきた。「乗ったことのない鉄道に乗りました」。東海道新幹線と上越新幹線の「乗り継ぎ定跡」ではなく、「日本海回り」を選んだ。名古屋から長野を経由。新潟県境を越えると上越妙高から特急「しらゆき」に初めて乗り、新潟に到着した。日本海の景色や、残雪の風景を楽しんだ。2日前の2日にA級順位戦9回戦(静岡市)を終えたばかり。慌ただしい日程の中、リフレッシュしたようだった。

昨年6月には、同じ新潟市で行われた棋聖戦第2局で永瀬拓矢王座(30)を下した。開幕局で2回の千日手指し直しの末に先手番で負けた後だった。「第2局を制して、防衛につなげられた」と述懐する。

今回は本年度48勝10敗のうち、31勝1敗と得意としている先手番となる。1敗は棋聖戦の永瀬戦。以来、現在まで先手番で28連勝中だ。「アドバンテージを生かし、皆さんの期待に応えられる熱戦にできればと思います」と語った。

一方、かど番の渡辺は、棋王戦11連覇にあとがなくなった。藤井には2勝15敗と相性が悪い。「結果は出ていないが、毎回テーマとか調整しているところはある。それを1つ1つ積み重ねていくしかない」と自らに言い聞かせるように話していた。【赤塚辰浩】

【棋王戦5番勝負対局VTR】

◆第1局(2月5日、長野市) 角換わり腰掛け銀から中盤まで互角の展開に。先手の藤井が2筋から歩、香を使った厳しい攻めをつなげる。最後は2枚の角の利きを生かし、入玉を図る渡辺を125手で封じた。初登場の棋王戦を白星で飾り、史上最年少6冠へ好スタートを切った。

◆第2局(2月18日、金沢市) 開幕局同様、角換わり腰掛け銀から先に仕掛けた渡辺に対し、後手の藤井が反撃。敵陣に成った龍を自陣に引いて守備に生かしつつ、2枚の角と、桂で金2枚と銀3枚の先手玉を一直線に攻略した藤井が連勝した。