渡辺明名人(38)への挑戦権を争う、将棋の第81期A級順位戦プレーオフが8日、東京・千駄ヶ谷「将棋会館」で行われ、先手の藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が広瀬章人八段(36)を125手で下し、名人戦の初挑戦を決めた。2日のリーグ最終戦で両者が7勝2敗の同率首位で並んだため、5年ぶりのプレーオフへ突入。広瀬は第73、76期以来、3度目のプレーオフ進出となったが、初の名人挑戦権獲得を逃した。

戦型は角換わり。藤井には過去3勝10敗と分が悪かったが、序盤から工夫を見せた。難解な終盤戦、広瀬は粘り強く相手にプレッシャーをかけ続けたが、最後は押し切られた。

終局後、広瀬は「ちょっと苦労の多い展開にしてしまい、それがだんだん形勢に表れてしまった。チャンスの少ない将棋だったのではないかなと思う」と振り返った。

A級9年連続で在籍。8年前と5年前のプレーオフにも進出したが、いずれも敗れている。今期のリーグは7勝2敗と、自己最高の成績だった。昨年10~12月の竜王戦7番勝負では藤井に挑戦し、工夫を凝らした指し回しを披露したが、2勝4敗で敗れた。3カ月後に得た再戦のチャンスを生かすことができなかった。

今期のリーグ戦について「いまの自分には7勝2敗は上出来だが、少し届かなかったところがある。今後の課題にしたい」と話した。