通常は経済や金融政策に関する質疑が行われる衆院財務金融委員会で29日、侍ジャパンが14年ぶりに世界一を奪還したWBCの話題が取り上げられた。

質問したのは元高校球児、東大野球部で投手だった立憲民主党の階猛衆院議員。質問した相手は鈴木俊一財務相。2人とも岩手が地元で、侍ジャパンのメンバー、大谷翔平、佐々木朗希と同郷だ。

「きょうは明るい話題から始めたい」と切り出した階氏は、「ちょうど1週間前、大谷投手がトラウト選手を三振にきってとり、WBCで日本が3大会ぶりに優勝する快挙があった。大谷選手はMVP、佐々木選手も勝利に貢献した。2人と同じ岩手の出身。大臣も喜ばれたと思う」と、2人の活躍に触れた。

「岩手が生んだ宝ともいうべき異次元の才能を持つ若い力の活躍が、日本の野球の世界一に貢献した」として、感想を問われた鈴木氏は「普段野球にそれほど興味を持たない…わけではないが、そういう私でもあの大会期間中はくぎ付けになった」と答弁。「盛り上がった原因は侍ジャパンだったし、同郷の大谷選手、佐々木の選手が大活躍して、日本の優勝、大会の成功に結びつけたことが大変うれしかった。暗いニュースもある中、久しぶりに国民の皆さんも沸き立った。侍ジャパンの選手1人1人に賛辞を贈りたい」とたたえた。

階氏は「この2人がすごいと思うのは、164キロという(速さの)球を投げること。私はどんなに頑張っても130キロ台で、2人にとっては、チェンジアップみたいな球しか投げることができなかった」と、自身の野球経験を振り返る中で、鈴木氏に「野球のチェンジアップとは、何を意味するかご存じか」と水を向けた。鈴木氏が「ストレートを投げるのとほとんど変わらないフォームで、実際はゆるい球がくると理解している」と応じると、階氏は「ここからが本題です」と話し、まもなく退任する日本銀行の黒田東彦総裁の金融政策に言及。

「当初は異次元の金融緩和で2%の物価安定目標を2年で達成と威勢のいい直球を投げ、市場の期待に働きかけたが、2014年には量的緩和を拡大、2016はじめには直前までやらないと言っていたマイナス金利を導入した」と指摘。「チェンジアップのように市場の期待を裏切り、裏をかき、市場に混乱を招いたと言わざるを得ない」と述べ、野球、WBCの話題から黒田体制の総括へと話をつなげた。