将棋の藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将=20)に佐々木大地七段(28)が挑む第94期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局が5日(日本時間同)、ベトナム・ダナンの「ダナン三日月」で行われ、先手の藤井が113手で勝って4連覇へ向け白星発進した。

第2局は23日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われる。プライベートも含めて初の海外となる藤井は、勝負メシにベトナム料理「コムガー」を堪能した。

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1日に最年少で名人奪取と7冠を達した藤井が海外初対局に臨んだ。ベトナム中部の中心都市・ダナン。東側は全面的に東シナ海に隣接し、西側は山に面する人気のリゾート地だ。日本との時差は2時間、ダナンの方が遅く進む。

「お互いの玉が不安定な形が続き、距離感を図るのが難しかった」。第1局の戦型は藤井が得意とする角換わりに進んだ。昼食休憩まではお互いが研究範囲内だったのか、ハイペースで駒組みが進んだ。藤井が交換した角を敵陣に打ち込み、桂と金との交換するなど、激しい攻めを見せた。中盤の競り合いでリードを広げると、最後まで的確な指し手を見せ、海外初対局を制した。

プライベートも含めて初めての海外で、4日に開かれた前夜祭では「短い滞在ではありますが、ダナンの豊かな食文化や美しいビーチや街並みをできる限り楽しみたいと思っています」。名人戦が終わったばかりでの過密スケジュールとなったが、現地の食も文化も楽しんだ。

「こちらに来る前はどんな感じなのかなと思っていたが、実際の来てみると、すごくすばらしい環境を用意していただき、気持ちよく対局できた」

最年少の17歳11カ月で初タイトルとなる棋聖を奪取した。その後、王位、叡王、竜王、王将、棋王を相次ぎ奪取し、ついに名人を奪取した。タイトル戦には過去、15度登場して無敗だ。棋聖は、今回防衛なら4連覇となり、早ければ来年には通算5期獲得で永世棋聖の有資格者となる。

第2局へ向け「しっかり準備して、いい状態で臨みたい」。名人になって最初の対局を白星で飾り、前人未到の8冠に向けた新たな1歩を踏み出した。