永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を争う、将棋の第71期王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦、羽生善治九段(52)対斎藤明日斗五段(24)戦が20日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。対局は、後手の羽生が相掛かりの攻め合いから抜け出し、1次予選から勝ち上がってきた斎藤を下した。貫禄を見せつけ、2019年の第67期以来のベスト4を決めた。
「序盤から乱戦になってよく分かりませんでした。難しいし、ちょっと足りないと思っていました」と振り返った。終盤、最善の攻めで勝利をつかんだ。
これで9日の日本将棋連盟会長就任以来、2連勝。就任初戦となった順位戦B級1組1回戦(15日、大阪市「関西将棋会館」)の大橋貴洸七段(30)に続き、この日の斎藤と若手をたて続けに撃破した。
大橋戦の後、「上に携わる時間と、対局している時間は随分違うなと思いました。双方のバランスがこれからの課題」と話した。会長との「二刀流」は今のところ、うまくいっている。
現在、タイトル獲得通算99期。今年1~3月の王将戦で藤井聡太王将(竜王・名人・王位・叡王・棋王・棋聖=20)に挑戦して100期を目指したが、2勝4敗で敗れた。5月には王位戦で挑戦者決定戦まで勝ち進むも、佐々木大地七段(28)に敗れ、藤井との頂上再対決は実現しなかった。それでもタイトル挑戦は手の届く位置にある。
王座は92年に初めて獲得すると、そこから19連覇を果たした。12年に復位するとさらに5連覇。計24期獲得は、竜王7、名人9、王位18、棋王13、王将12、棋聖16期に比べ、最も多い。
もう一方の準決勝では藤井が勝ち上がってきた。28日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で対局する。「王座戦では初めて。もう日程も近いですし、せっかくの藤井さんとの対局ですので、コンディションを整えていい状態で対局を迎えられたらと思います」。
王将戦以来の対局で、今回は一発勝負。「8冠ロード」を進む藤井を阻んで、タイトル獲得100期へと近づきたい。永瀬王座への挑戦権獲得まで、あと2勝だ。