名古屋市の交差点で信号無視し、女児(6)が連れていた犬のポメラニアンに当て逃げ事故を起こしたとして、愛知県警は22日、道交法違反(事故不申告など)の疑いで乗用車を運転していた同市の男性(91)を書類送検した。
県警によると容疑を認めている。動物を巡る事件での立件は珍しい。この日、女児の母親・橋本智子さん(39)が取材に「許せないとか、悔しいという気持ちより、やるせなさが大きい」と話した。
容疑は7月28日午後5時半ごろ、押しボタン式信号機のある横断歩道を女児が渡っていたにもかかわらず、赤信号のまま通過して女児が連れていた犬をはねたのに警察署に届け出なかった疑い。ポメラニアンは3歳雄の「朝陽」で、動物病院に運ばれたが、間もなく死んだ。橋本さんは「娘に車が当たらなかったのは不幸中の幸いで、奇跡だった」と語った。
橋本さんは事故の様子が写っている現場近くの防犯カメラの映像を手に入れ、警察に届け出た。警察は男性に任意聴取をしたが、認知症の症状は見られなかった。9月中旬に橋本さん宅を謝罪で訪れた際、男性は「覚えていません」「車は最新のもので自動ブレーキがついている。(犬が)低いから反応しなかったのだと思う」などと説明したという。【沢田直人】