将棋の最年少7冠、藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が全8冠制覇を目指して永瀬拓矢王座(31)に挑戦する、将棋の第71期王座戦5番勝負第3局が27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われる。シリーズの対戦成績は1勝1敗のタイ。藤井が連勝すれば、史上初の全8冠制覇へあと1勝に迫る。王座5連覇を目指す永瀬が今回防衛すれば、王座の永世称号である「名誉王座」の資格を獲得する。シリーズの流れを大きく左右する注目の大一番が始まる。

対局前日となった26日夕、両者は対局場となるホテルで、使用する盤や駒、照明の明るさをなど確認する「検分」を行った。両者ともスーツ姿で落ち着いた様子だった。

両者のタイトル戦での対戦は22年の棋聖戦5番勝負以来で、その時は藤井が開幕局を落としたものの、その後3連勝して棋聖を防衛した。「軍曹」の異名を持ち、10歳年上の永瀬とは17年からVS(ブイエス=1対1の練習対局)を行う研究パートナーだ。お互いの手の内は知り尽くしている。

今シリーズはともに後手番で1勝ずつ挙げており、第3局を制した方が、タイトル獲得に大きく近づく。過去の対戦成績は藤井の12勝6敗。ダブルスコアだが、王座戦では2局とも150手を超える激闘が続いてる。第2局はお互いに入玉して、200手を超える乱戦になったが、藤井が鮮やかに寄せきった。214手は藤井のタイトル戦の最長手数だった。

第2局を終え、藤井は「改めて3番勝負という形になるので、気持ちを切り替えて臨みたい」。永瀬は「精いっぱい頑張りたい」。羽生善治九段(52)が96年に当時7つあったタイトルを独占したが、17年に新たなタイトル「叡王」が加わったため、8冠を独占すれば歴史的な快挙となる。【松浦隆司】