将棋の第94期ヒューリック杯棋聖戦を制した藤井聡太棋聖(21)の就位式が3日、東京都千代田区「帝国ホテル」で行われた。今期は佐々木大地七段(28)の挑戦を3勝1敗で退け、4連覇を達成した。6月5日の第1局はベトナム・ダナンで開催され、初の海外対局も経験した。

3年前、初タイトルとなる棋聖を獲得して以降、一昨年、昨年はコロナ禍のために報道陣と関係者だけで開催された。棋聖就位式4回目にして、初めて200人ものファンを呼んでの祝宴となった。

主催者あいさつで壇上に立った日本将棋連盟会長の羽生善治九段(52)は、江戸時代末期の将棋の強豪、天野宗歩が「棋聖」と呼ばれていたことから、棋聖戦のタイトルが付けられていると説明した。「近代将棋の父とも言うべき天野宗歩がスピード感を持った棋譜を残し、今の多くの棋士に影響を及ぼしている。藤井棋聖もスピード感あふれる将棋を披露して数々の記録も更新し、将棋の教材を残していると感じております」と評した。

佐々木七段を下した5番勝負にも触れ、「攻守のバランスが取れた相掛かりのスペシャリストを相手に、終盤までぎりぎりの勝負が続いていました。デッドヒートの中で1歩、2歩と差を広げて勝ちきる強さが目立っていた」とも分析した。最後に、「全冠制覇が迫っていますが、体調に留意され、素晴らしい棋譜を作り続けてほしい」と話していた。