将棋の藤井聡太棋王(竜王・名人・王位・叡王・王座・王将・棋聖=21)が同学年の伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける第49期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第2局が23日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われる。

第1局は異例の持将棋(引き分け)が成立し、シリーズ成績は両者ともに0勝0敗1分。藤井は棋王初防衛、伊藤は初タイトル獲得を目指す。

両者は23日、前日検分後、金沢市内で行われた前夜祭に参加した。藤井は能登半島地震の犠牲者に哀悼の意を表し、「多くの方に楽しんでいただけるように全力を尽くしたい」と盤上での熱戦を誓った。伊藤は「1日も早い復興を心から願っています」と祈った

能登半島地震で自宅が倒壊した石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)が第2局の駒と将棋盤を提供する。妻を亡くし、失意の中にいたが、がれきの中から大切にしてきた駒を見つけ出した。アマチュア三段の実力で、日本将棋連盟石川県支部連合会理事を務める塩井さんは1度は提供を見送ることを決めたが、将棋を応援していた妻のためにも「日常を取り戻すきっかけにしたい」と決意した。

倒壊した自宅から見つけたのは無傷の状態で4組の駒。今回は4組の駒のうち2組を提供。検分では両対局者が「どちらでも」との意向があったので、塩井さんは思い切ってタイトル戦で1度も使ったことがない駒を薦めた。前夜祭に出席した塩井さんは「これまで積み上げてきたものがなくなったが、1からスタートするための駒を選んでもらった」と涙ぐんだ。

前夜祭では藤井に感謝を伝えると「よろしくお願いします」と笑顔で返答があった。被災者も2人の戦いを見守っている。【松浦隆司】