岸田文雄首相は28日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる衆院政治倫理審査会(政倫審)に自ら出席する考えを電撃表明した。

当初予定されたこの日の審査会は、出席を申し入れた安倍派、二階派の幹部5人が全面公開に応じず自民党内で調整できなかったことで見送りとなる異常事態になっていたが、首相は「マスコミフルオープンで」と明言。「政治の信頼回復へ、志のある議員には政倫審や、あらゆる場で説明責任を果たしてもらうことを期待している」と公開に消極的な5人を突き放すように語った。

これを受け、5人は首相と同じく全面公開で応じる姿勢に転換。首相の表明に追い込まれた形だ。

与野党は、政倫審を29日と3月1日の両日に行うことで合意。現職総理として初の出席となる首相と二階派の武田良太事務総長が29日、安倍派の塩谷立座長、西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長の計4人への審査が3月1日に行われる。

今回の政倫審開催までには、自民党内の調整力崩壊で、二転三転の迷走劇となった。自身の出席をサプライズ表明した首相自身、党総裁として5人出席に向けた指導力を発揮できず、全面公開での自身の出席という「荒業」(自民党関係者)を繰り出すことでしか、5人の出席と全面公開を実現できなかった。

武田氏や西村氏は公開でも構わないと述べていたとされるが、結果的に、首相に促される形で、5人は公開での審査会出席に応じざるを得なくなり、野党からは「みっともない」「政治家失格だ」と厳しい声が出ている。首相の荒っぽいやり方には、自民党内でも不満がくすぶっている。

ただ、岸田首相はこれまで衆院予算委員会で野党から裏金問題や自身の「闇パーティー」問題で追及されても、納得できる説明は行われず「ゼロ回答」批判も受けた。そんな首相が、罰則なしの政倫審に出て何を語るのか。懐疑的に見る向きは多い。

ある野党議員は「出るだけなら国民も納得しない。裏金の当事者でもある5人は当たり前だが、岸田首相もこれまでのような答弁なら、説明責任を求めるステージは確実に上がる」と指摘する。「荒業」で勝負に出た首相の判断は、吉と出るのか凶と出るのか。