<1>01年・第2回(勝ち馬クロフネ=東京ダート2100メートル)
衝撃的な勝利だった。圧倒的主役を務めたのは、クロフネだ。3コーナーからスパートをかけると、府中の長い直線では後続を引き離すだけ。前年覇者ウイングアローに7馬身差をつけてゴール。2分5秒9のレコードだった。
NHKマイルCに続くG1勝利。アグネスデジタルがマイルCSとJpn1の南部杯に勝っていたが、JRA・G1で芝&ダートVはクロフネが史上初。「今までいい馬にたくさん乗せてもらったが、今日のレースに限って言えば、こんなに強い馬はいなかった」。鞍上の武豊騎手も驚く強さで、競馬界に強烈なインパクトを残した。
<2>08年・第9回(勝ち馬カネヒキリ=阪神ダート1800メートル)
感動の復活Vだった。3年前の覇者カネヒキリが、鮮やかによみがえった。復帰困難といわれる屈腱炎を克服。2度の手術による2年4カ月の長期休養を乗り越え勝利をつかみ取った。
先行集団直後のインにつけ、初コンビのルメール騎手が勝機を探る。直線でわずかな隙間から抜け出すと、迫ってきたメイショウトウコン、ヴァーミリアンとの頭+首差の接戦を制した。06年フェブラリーS以来、5つ目のG1タイトル。阪神に移され新装元年のJCダートで、元王者が輝きを取り戻した瞬間だった。
<3>09年・第10回(勝ち馬エスポワールシチー=阪神ダート1800メートル)
完全無欠の逃走劇だった。1番人気エスポワールシチーが、佐藤哲三騎手の好判断でハナを奪い、直線も独走。鮮やかな逃げ切りを決めて、かしわ記念からJPn1を含めてG1・3連勝を達成した。
最終追い切りに乗った時点で、鞍上はすでに勝利を確信していたという。「絶対勝てると思っていた」。最内1番枠からスムーズに先制すると、確信は現実へ。15頭を引き連れて、エスポワールシチーが直線へ入る。追いすがるサクセスブロッケンを突き放すと、追い込み馬も届かない。2着に3馬身半差の完封劇。白い帽子には砂ひとつついていなかった。