ノースブリッジの岩田康騎手は、スタートから手綱を押して出ていった。外からハナを主張したトーラスジェミニ、内コルテジアと併走して2コーナーへ。いったん行く構えを見せてから、向正面に出たところでゆっくり手綱を引いた。

新馬、葉牡丹賞連勝はともに逃げ切り。前走のアメジストSも先手を奪って押し切った。理想はハナ。だが、今回はメンバー的に控える競馬も考えなくてはならない。馬の後ろでは掛かる恐れがあり、いかにリズム良く走らせるか。その点に一番気を使った。

スタートから行く気満々の馬をガツンと抑えてしまうと、余計に折り合いを欠く。だから「行ってもいいよ」と納得させてから徐々に収まりをつけた。このさじ加減が絶妙だった。3番手の内で行きたがる面は見せたが、鞍上がなだめられる範囲で脚はたまった。

直線は馬場のいい外へ出して早めにスパート。少し時計のかかる馬場も味方したが、スピードの持続力を生かして、差し馬の追い上げを封じた。まだ未完成で粗削りだが、こういう(控えて差す)競馬ができるようになれば、さらに上のステージでも活躍できる。

エプソムCを制して笑顔の岩田康騎手(2022年6月12日撮影)
エプソムCを制して笑顔の岩田康騎手(2022年6月12日撮影)