タイトルホルダーの強さだけが際立った。1コーナーでパンサラッサに先頭を譲りはしたが、1000メートル57秒6のハイペースを2番手で追走し、4角では早めに並びかける積極策。エフフォーリアの横山武騎手が「ついていくのが精いっぱいだった」という消耗戦に持ち込み、後続の体力を奪っていった。

横山和騎手も「僕がひるまないように、馬を信じて乗った」と強気で攻めた。ラスト1000メートルから3回連続で11秒台の高速ラップが刻まれる中、走りのリズムを崩さずにスピードを上げ、後続にダメージを与えた。2着とは2馬身差だが、上がり3ハロン36秒1は2着ヒシイグアス、3着デアリングタクトに次いで3番目に速い。

このスタミナ、スピードの持続力は現役最強といっていい。鞍上との息もぴったりだ。仕掛けて出していくことはせず、無理に手綱も抑えない。まさに「人馬一体」。ほとんどストレスをかけない騎乗だから、最後も坂を上がってひと脚が使える。近年の名馬とはひと味違う。

秋は凱旋門賞に直行と聞く。これまで瞬発力に優れたスピード馬が、何度もロンシャンの重い芝で失速した。だが、タイトルホルダーの心肺機能をもってすれば「日本馬初」の快挙も夢ではない。そう思わせるに十分な圧勝劇だった。