<アイビスSD>

ビリーバーの杉原騎手は周囲がよく見えていた。残り400メートル地点のポジションは、外ラチ沿いで逃げるシンシティ、4着レジェーロの後ろ。内にはクリスティ、マウンテンムスメがおり、なかなか内に進路は変えにくい。選択肢は2つ。逃げ馬の外へ出してラチ沿いを突くか、それとも内に切り替えるか。

直線競馬でゴールが迫る中、追いだしを我慢する余裕があった。前2頭の動きを見てシンシティの手応えの良さを感じ、レジェーロとの間が開く。と、その瞬間を待っていた。人も馬も加速する準備ができていたから、わずかなスペースを一瞬で突くことができた。もし、強引に進路を奪いにいったら、挟まれるなど不利を受けたかもしれない。

仕掛けを待つことで、ビリーバーの脚もたまる。最後ははじかれたように伸びて初重賞制覇を達成した。調子の良さに加え、2分の1の抽選を突破し、外枠をゲット。運に恵まれた面もあるが、冷静なコース取りでビリーバーの末脚を引き出した杉原騎手の好騎乗が光った。