タマモブラックタイの幸騎手が、武豊騎手の動きを止めた。4コーナー、折り合いに苦労しているカルロヴェローチェの外からかぶせるように1馬身前へ出ると、逃げたウメムスビ、2番手アームズレインの間に馬体を滑り込ませた。

この動きによってカルロヴェローチェは行き場がなくなり、いったんバテた馬を避けて外へ立て直すロスが生じた。この間にタマモブラックタイは内ラチ沿いから一気に先頭へ。ゴール前の強襲を何とか鼻差しのげたのは、4コーナーから直線にかけての位置取りと進路選択の巧みさにある。

向正面で2着馬と併走状態になった時、ライバルの動向は意識していたはず。掛かっているとはいえ、スムーズに抜けてこられたら瞬発力ではかなわない。だから一歩前へ出ることで相手が身動きできないように内へ閉じこめた。もし、位置関係が逆だったら勝利はなかっただろう。

好スタートからいったん控えて流れに乗り、勝負どころではライバルを絞って素早く対応。それほど速い脚が使える馬ではなく、メリハリを利かせた幸騎手の好プレーが、タマモブラックタイに重賞初制覇をもたらした。