レモンポップが思い切った逃げで、後続の追い上げを封じた。初の1800メートルに加え、試練ともいえる8枠15番。距離ロスなく進むには、スタートから出していって1コーナーまでに内ラチ沿いに付けるか、いったん下げて馬群に潜り込むかの二択だ。

坂井騎手が前者を選択したのは、レモンポップの操縦性の良さにある。好スタートから飛び出すと、2ハロン目に11秒0の高速ラップを刻んだ。掛かる馬ならこのままオーバーペースになる恐れもあるが、続く3ハロン目は12秒9に減速。向正面ではしっかり折り合いがついていた。

ここでの1秒9のペースダウンが、最後まで粘り切れた要因だろう。その後も12秒4→12秒1→12秒4→12秒6→12秒1と小刻みに上げ下げを繰り返しながら後続のスタミナを奪っていった。1800メートルはベストとはいえないが、鞍上の意のままに動けるコントロール性がラスト1ハロンをもたせた。

もし、下げる選択をして馬群の外を回る展開になっていたら、踏ん張り切れたかどうか分からない。坂井騎手が馬の性格、癖を頭に入れていたから、大外枠でも迷わずに出していけた。人馬の信頼関係が“未知の領域”を克服させたといっていい。

笑顔で握手する坂井騎手(左)とプレゼンターの長澤まさみ(撮影・白石智彦)
笑顔で握手する坂井騎手(左)とプレゼンターの長澤まさみ(撮影・白石智彦)