高松宮記念は差し・追い込み馬が波乱を起こす。今開催の中京は先行有利と言われるが、流れひとつで傾向は変わる。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、逃げ馬不在のメンバー構成に着目。しまいの瞬発力勝負になればシルクロードS3着、オーシャンS2着と末脚に磨きをかけたナランフレグ(牡6、宗像)が浮上する。

末脚に磨きをかけたナランフレグ
末脚に磨きをかけたナランフレグ

■ナランフレグ前半1秒5以内追走なら確実伸びる

ナランフレグは昨年10月のオパールSから、4戦連続3着以内に入っている。しかも上がり3ハロンはすべて33秒台でメンバー最速。自慢の決め手に磨きをかけたが、むしろ注目すべきは前半600メートル通過時の先頭とのタイム差だ。

オパールS 1秒0

タンザナイトS 1秒5

シルクロードS 1秒4

オーシャンS 1秒1

(いずれも推定)

最後方に近いポジションでも、1秒5以内と大きく離されてはいない。対して5走前のセントウルS(10着)では、前半3ハロン32秒9の高速ラップについて行けず、先頭から2秒1も置かれた。しまいは33秒0でレシステンシアの0秒8差まで詰めているが、縦長の展開で届かなかった。

しまいは確実に伸びるだけに、前半を1秒5以内で追走できるかが鍵になる。その点、流れが落ち着きそうな今年のメンバーは願ってもない。今開催の中京は金鯱賞(ジャックドール)でレコードが出た高速馬場だが、全体時計が速くなっても、流れに乗って先行集団との距離を測っていけば脚は使える。

今はその体力もついた。以前はコーナーでもたつく面があったが、前走のオーシャンSは大外へ出した4角から一気に加速。不得手の右回りでもバランス良く走れたように、頼りなさがなくなった。馬体重の498キロはデビュー以来最高。ここへきての充実ぶりをうかがわせる。ファストフォースが引っ張る流れなら33秒台中盤か。先行集団を射程に捉えた位置で脚がたまれば上位争いできる。

 
 
 
 

■意外に流れ落ち着き瞬発力勝負になれば

【ここが鍵】

今年は確たる逃げ馬がいない。前走でハナを切ったのは、香港マイルのサリオス1頭。2走前まで視野を広げてもファストフォースだけだ。短距離G1としては珍しい。行く気になればメイケイエールが速そうだが、控える競馬で結果が出たところ。今回も折り合い重視の競馬になる。となれば、意外に流れは落ち着く。前が残る馬場で縦長の展開になると追い込み馬にはきついが、馬群が詰まっての瞬発力勝負なら出番はある。強烈な決め手を持つ馬の浮上シーンも考えておきたい。

■左回り巧者シャインガーネット

<シルクロードS>

シルクロードS2着のシャインガーネットは、中団より前の7番手から差し込んだ。京王杯SC(6着)やオーロC(3着)では4角14、15番手と離されたが、流れによっては好位差しできることを証明した。左回り巧者で中京芝も【1101】と結果を出している。仕掛けるタイミングの難しい馬だが、田辺騎手が手の内に入れているのは心強い。前走でつけられたメイケイエールとの1馬身差は、展開次第で逆転できる。

■トゥラヴェスーラ大駆けある

<阪急杯>

阪急杯2着のトゥラヴェスーラは、直線でうまく内ラチ沿いをすくった。馬混みでも前が詰まることなく恵まれた面もあったが、狭いスペースを一瞬で抜ける脚は魅力だ。昨年の高松宮記念4着、2走前の京王杯SCでは、メンバー最速となる32秒5の強烈な末脚を繰り出した。前半から速いペースでなし崩しに脚を使うよりも「よーい、ドン」の瞬発力勝負になった方がいい。ここ2戦1400メートルの流れにマッチしており、距離短縮でうまく脚を残せるかがポイント。はまれば大駆けがある。