今年のジャパンC(G1、芝2400メートル、27日=東京)はアーモンドアイ、コントレイルのような傑出馬が不在。波乱ムードが漂う。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は天皇賞・秋6着カラテ(牡6、辻野)に注目した。マイル路線から中距離にシフトチェンジして新潟記念を勝利。前走も瞬発力勝負の中、しぶとく末脚を伸ばした。2400メートルは未知数だが、スタミナ型の末脚が生きれば大駆けがある。

天皇賞・秋に出走したカラテと菅原明騎手
天皇賞・秋に出走したカラテと菅原明騎手

天皇賞・秋は大逃げしたパンサラッサが、前半1000メートル57秒4で飛ばした。当然、紙面の出走箱にはハイペースを示す「H」と表示されるが、2番手以降は先頭から3秒近く離されたスローペースだったことを考えておく必要がある。

後方から1、3着のイクイノックス、ダノンベルーガが32秒台の脚を使ったのを見ても、後ろの集団は究極の瞬発力勝負だった。この流れをカラテは7、8番手の内。前にマリアエレーナ、外にジオグリフ、アブレイズがいて動くに動けない状況。手応えは良かったが、直線を向くまで追い出しを待たされ、完全に脚を余していた。

カラテも33秒4の脚を使っているが、530キロ近い大型馬で瞬時には加速できない。同じような位置から伸びたダノンには一瞬で突き放された。上がり3ハロンを11秒台平均で走るのがカラテなら、どこかで10秒台を挟めるのがダノン。天皇賞・秋はその差が出た。

菅原明騎手も「位置取りが良くなかった」と悔やんだが、もう1列前で自分から動く形なら違っていたかもしれない。それでもゴール前は盛り返すように伸びて、5着シャフリヤールとは1馬身差。内枠ということもあったが、ポジションや仕掛けのタイミングが勝敗を分けたといっていい。

今回初の2400メートルになるが、前走はゴール後も余力があって、あれがいっぱいという印象はなかった。父トゥザグローリーも、有馬記念(10、11年)で2年連続3着の実績があり、血統的にもこなせないことはない。距離延長で大化けの可能性に懸けてみる手はある。

■長く脚を使える「持久力型」

【ここが鍵】

今年は外国馬の出方が鍵を握る。逃げるのはユニコーンライオンだろうが、日本の高速馬場に対応できればテュネス、シムカミルあたりも積極的に出ていきそう。前半1000メートルは59秒台か。ある程度流れれば、極端な瞬発力勝負にはならない。つまり一瞬の脚より、好位・中団から長く脚を使える「持久力型」が浮上する。天皇賞・秋は逃げたパンサラッサ1頭を除いて切れ味合戦。そこで後れを取った馬の巻き返しに注意が必要だ。