エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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馬が速く走るには、前脚の長さも重要である。成長と共に馬体各部は当然大きくなるが、馬の脚の長さは生まれた時からあまり伸びないと言われており、募集時にある程度脚の長さがあることが大切だ。

だが、これもエアレーションによりパワーが必要となっていることの影響か、脚が長めの馬より短めの馬に活躍馬がシフトしている気がする。一口馬主では基本的に「胴が短く脚が長めの馬」より「胴が長く脚が短めの馬」の方を選んだ方がいいのかもしれない。

例えば、サリオスは後述する脚長率60.5%、体バランス5ミリ、レシステンシアは脚長率62.4%、体バランス4ミリと、従来の基準よりはかなり胴長短足なこともあって候補から除外してしまったが、G1勝ちの活躍はご承知の通りである。

脚の長さも測尺には記載がないので、以下のように募集馬カタログ写真で計測し、なるべく客観的に判断するようにしている。

起点は馬の左前脚の付け根、具体的には脚と胴が繋がっている部分にできる三角形のとがった頂点の部分から垂線を下ろし、左足の蹄(ひづめ)の先までの長さを計測する。例えばキャロットのジンジャーパンチ21であれば、約6.0センチになる。可能な方はご確認いただきたい。

ただ、以前に当コラム【タイトル:大人と子供の運動会  2月14日掲載】で述べたとおり、馬によって写真はアップの度合いが違うので、この数値だけでは脚の実際の長短を判断することはできない。そこで脚の長さを体長で割った「脚長率」から、脚の長さと胴体を比べたバランスの良さをなるべく客観的に判断している。

ジンジャーパンチ21を例に取ると、体長が9.3センチなので、6.0を9.3で割った脚長率は約0.645、すなわち64.5%になる。以前の芝が硬かった時期は、脚長率65%くらいがベストだったと思うが、現在は測定日A(7月15日以前に測定)で65%、測定日B(7月16日から9月15日の間に測定)で64%、測定日C(9月16日以降に測定)で63%くらいがバランス的に最良と考えており、同馬の測定日はBなので、バランスはなかなかいいと判断した。

一方測定日Aで69%、測定日Bで68%、測定日Cで67%以上と脚が長すぎる馬と、60%以下の脚が短すぎる馬は様子を見るようにしている。

なお、これも馬によっては脚のつけ根が三角になっておらず起点が分かりにくい馬もいるし、数多く計測する事で自分なりの基準を作っていくのが良いと思う。