31日付で引退する大井の三坂盛雄調教師(72)は祖父が「大田区で乗馬クラブをやっていた」という。父は大井で厩舎を開業していた博師。ホースマン一家に育ち、「高校に通いながら厩務員をしていた。最初の大学の時もやっていたから6、7年かな」と父の下でキャリアをスタートした。後を継いでほしいという父に「それなら専門的な知識を」と頼んで日本獣医畜産大学も卒業。厩務員、調教師補佐を経て、81年に30歳の若さで調教師となった。

82年に小林で開業。今月で定年となり、調教師人生に幕を下ろす。思い出の馬は「最初に重賞を勝ったガルダンですね」。85年浦和記念で初重賞制覇。当時は地方競馬招待だった中山のオールカマーで86年4着、87年2着。87年ジャパンCは13着だったが、地方競馬代表で出走した。思い出のレースは「やっぱり一番は大井で初めて勝った関東盃だろうね」。86年に行われた同馬の重賞2勝目は同年に始まったナイター開催での初めての重賞。「だから余計に感激があった。いい思い出です」と懐かしむ。

29日現在で地方通算9371戦993勝、重賞9勝を挙げた。「やりきったなと思います。40年コンスタントにこられたから。馬主さんとスタッフのおかげ。最後の最後まで馬を置いていてくれて、ありがたいです」。引退当日まで出走馬が控えている。【牛山基康】