変化を求めて-。女性ジョッキーの藤田菜七子騎手(24=根本)が、3月上旬から“栗東滞在”で腕を磨いている。デビュー7年目。勝ち星が伸び悩む中で環境を変える挑戦を選んだ。14日には105日ぶりの白星を挙げ、滞在期間の延長も決定。「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」で奥田隼人記者が、新たな自分を模索する藤田騎手の思いに迫った。

16年ぶりのJRA女性ジョッキーとして注目された藤田騎手も今年でデビュー7年目。ルーキーイヤーから年々勝ち星を増やし、19年は自己最多のJRA43勝を挙げたが、以降は徐々に減少。昨年は14勝にとどまった。今年は1月末に1勝目を挙げたものの、以降は停滞。3月上旬に変化を求めたのが“栗東滞在”というチャレンジだった。

藤田騎手 自分が勝たせてもらっていた時と、今とは何が違うかというのを考えたりもしました。なかなかうまくいかないことも多く、すごく悩んだりしました。何かを変えなきゃいけない。チャレンジしてみようと。そういう気持ちで栗東に来ました。

関西でのつながりが増えれば、騎乗数もおのずと増える。近年、年明けの小倉開催では現地に滞在していたが、一時的にでも拠点を関西に移すのは初の試みだった。栗東トレセンでは精力的に調教に騎乗。自転車でトレセン内を疾走する姿もよく見かける。

藤田騎手 気持ちの面でももちろんそうですし、騎乗技術のことに関しても今、変えていこうとしているところです。たくさんの方が声をかけてくださって、本当にみなさん応援してくださいますし、アドバイスをくださいます。すごくありがたいことです。

その成果は騎乗数の内訳にも表れている。年明けから栗東滞在前までの東西厩舎別の騎乗数は関東46鞍、関西23鞍だったが、滞在後は関東36鞍、関西49鞍と数字が逆転。14日には新潟1Rを関西・藤原英厩舎のアタカンテで勝利し、3カ月半ぶりとなる今年2勝目を挙げた。21日にも新潟3Rを関西・杉山晴厩舎のルヴェルジェで勝利し、2週連続V。栗東滞在がいい循環を生んでいる。当初、春の新潟終了までの予定だった滞在期間の延長も決めた。

藤田騎手 こうして今、関西で乗せていただいて、中京と阪神にいくのが一番、現状ではいいのかなと。変わらなければいけないという思いで来たので、少しでも変わった姿を見せられるようにしたいですし、その結果として成績を少しでも上げることができたらいいなと思います。

新たな自分を追い求め、新天地で奮闘する藤田騎手の変化にこれからも注目していきたい。

【奥田隼人】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)