今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は、松田直樹記者が来週11、12日に北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われる日本最大の競走馬のセリ、セレクトセールを展望した。初年度産駒が登場する2日目の当歳セリでは毎年、新種牡馬が盛況を支える。今年はサートゥルナーリアが目玉サイアーの筆頭候補。馬主同士の熱戦が待っている。

セリには夢が売られている。来週は2日間で200億円以上もの金が動くセレクトセールが行われる。種牡馬一覧からディープインパクト、キングカメハメハの名が完全に消えても、新星たちが続々現れてセリに熱気をもたらす。毎年、興味深く見守っているのが初年度産駒が登場する2日目の当歳部門。24年のデビューを目指して、今年は新種牡馬8頭の産駒が出る。豪華ラインアップを見ると、将来の日本競馬を支える“柱”候補はサートゥルナーリアという印象を受ける。

昨年、種付けシーズン直前の1月15日に引退が発表され、社台SSで種牡馬入り。繋養(けいよう)馬の種付け料が発表された同25日の時点でBookfull(満口)となっていた。1年目に設定された種付け料はルーキーにしては高額の600万円。他馬との交配予定を変更してまで申し込んだ生産者がいたことも想像に難くない。

エピファネイア、リオンディーズの兄2頭は種牡馬として国内外に活躍馬を送り出した。上場14頭は新種牡馬最多の頭数だ。ラルケットの22(牡)のリザーブ価格7000万円はモシーンの22(牡、父エピファネイア)、シーズアタイガーの22(牝、同)に並ぶ最高額スタート。そして、ミカリーニョの22(牡)は2日間のセリを締める大トリとして登壇する。直接産駒を見たわけではなく、評判も人づてに聞いているだけだが、評価の高さが見て取れる。

今年で取材に行くのは9回目。買うのは到底無理だが、見る分には非常に楽しめるセリだ。21年にこの世を去ったドゥラメンテ、ネオユニヴァースや、20年限りで種牡馬を引退したハーツクライの産駒は今年で最後の上場となる。希少価値の高い産駒にも、購買希望者は熱心に手を挙げるだろう。全馬の可能性は無限大。将来の活躍を願いながら、セリを見届けたい。【松田直樹】

◆当歳部門に初年度産駒が登場する新種牡馬 サートゥルナーリア以外の主な馬は国内外G1・3勝のアドマイヤマーズ(上場4頭)、チャンピオンズCなどを制し18年のJRA最優秀ダート馬に輝いたルヴァンスレーヴ(同5頭)など。米G1勝ちを含め4戦4勝で引退したナダル(同6頭)、愛G1・2勝シスキン(同3頭)はいずれも日本で種牡馬入りし、産駒が注目されそうだ。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)