最強馬の夏休みを見てみよう。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は世界ランキング1位イクイノックス(牡4、木村)の放牧中の姿を取材するため、東京の松田直樹記者が福島県にあるノーザンファーム天栄を訪れた。同馬はG1・4連勝を決めた宝塚記念後、美浦経由で6日に同牧場に到着。涼しい時間帯に体を動かしつつ、ジャパンC(G1、芝2400メートル、11月26日=東京)を大目標に据えたローテを模索している。

世界チャンプはこの日24日も輝いていた。数メートル先でピタッとイクイノックスが立ち姿を決めた。美浦所属のノーザンファーム生産馬の拠点、福島県にあるノーザンファーム天栄。宝塚記念での激闘を終え、美浦トレセン経由で6日に前線基地へ戻ってから3週間弱がたった。木実谷雄太場長は「ドバイ(シーマC)の後よりは楽です。ジャパンCを目標にその前後をどうするかというところ。まだまだ時間はあるので、余裕をもっていけそうです」と思いを巡らせる。

日本全国、どこに行っても暑い。東北地方は22日に梅雨明けが発表されたばかり。太陽が昇り切ると、この日の最高気温は35度に達した。同牧場で放牧中の馬は朝5時過ぎから調教が始まる。イクイノックスは現在、ウオーキングマシンやトレッドミルで運動をしてから、周回コースまたは坂路で軽めの負荷がかけられる。

調教終了時間は午前6時10分。その後、スタッフに汗を流してもらい、同7時には手入れが終わる。時に出資者の来客対応で馬房から出ることもあるが、基本的には気温が上がり切る前に静養に入る。「朝は22、23度くらいなので、馬も楽ですよね」。前走で外傷した右目も軽度。涼しい時間で体を動かしつつ疲労を抜き、次戦への立ち上げを待っている。

まだパフォーマンスは上げられる。IFHA(国際競馬統括機関連盟)が14日に発表したロンジンワールドベストレースホースランキングでは129ポンドで世界1位を堅持した。逃げ、差し、まくり。何でもできるのに、もっと上を見る。

「一番は回復が早くなりましたよね。今はデビューして20キロ近く体が増えました。背が伸びて、体に幅が出て、内臓も良くなって代謝が良くなった。肩周りは去年の有馬記念前はもっと筋肉がついていました。ここから乗り込んで、少しでも近づけていきたいですね」

炎天下の最強馬取材。暑さを乗り越えた先に、強さのピークが待っている。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)