<高松宮記念>◇26日=中京◇G1◇芝1200メートル◇4歳上◇出走18頭

不良馬場にまでなると、道悪の巧拙が結果を左右します。勝ったファストフォースと2着ナムラクレアは前哨戦シルクロードSの2、1着馬。着順は逆になりましたが、良馬場でも力のある2頭がともに不良馬場をこなした、ということが大きなポイントでした。

前後半600メートルずつのラップは35秒6-35秒9とまったくの平均ペース。普通なら前の馬が残る流れですが、勝ったファストは好位の後ろからで、2着以下の上位入線馬はそれより後ろの位置でした。つまり、先行勢は総崩れ。この馬場にしてはタフな流れだったこと、また先行勢に不良馬場をこなすタイプがいなかったことが前崩れの要因でしょう。結果的に、ファストの位置取りが最高でした。

団野騎手はJRA・G1初勝利ですね。もともと岩田望騎手らと同期で早くから頭角を現していた1人です。昨年は落馬負傷による長期休養があり、その後は歯車がかみ合わないところもあった印象ですが、もともと素質ある若手有望株です。父の団野勝調教助手(斉藤崇厩舎)が私の厩舎で長らく勤めてくれたという縁もありますし、今後の活躍にも期待します。

2着ナムラクレアは強い競馬をしています。勝負事に“たられば”は厳禁ですが、良馬場なら勝利にいちばん近かった馬だろうと思います。勝ち馬に少しだけ運が向きましたが、またチャンスが来るでしょう。3着トゥラヴェスーラには驚きました。最内枠から思い切って馬場の悪い内を選んだ、丹内騎手の判断が好走を導きました。

1番人気メイケイエールは12着。画面で見る限り、すごく引っかかったようには見えませんでした。基本的には良馬場の方がいい馬ですし、今回は馬場が悪くなりすぎたということでしょう。(JRA元調教師)

ファストフォースで高松宮記念を制し力強くガッツポーズするG1初制覇の団野騎手(撮影・白石智彦)
ファストフォースで高松宮記念を制し力強くガッツポーズするG1初制覇の団野騎手(撮影・白石智彦)