先週お伝えできなかった金曜日以降のロイヤルアスコット開催のG1結果をお伝えしましょう。

アスコット競馬場は最終日の18日の最終レースのみ弱い雨が降りましたが、大変珍しいことに5日間の開催中はすべて好天に恵まれて無事に幕を閉じました。残念ながらエリザベス女王の臨席はなく、期待された女王の馬たちについても芳しい結果は得られませんでしたが、連日のようにスターホースが登場。7月以降のマイル路線、中距離路線の楽しみを膨らませています。開催チャンピオンには7勝を挙げたライアン・ムーア騎手が輝きました。


◆コモンウェルスカップ(6月17日、G1、芝1200メートル、良、20頭)

優勝 パーフェクトパワー(C・スミヨン騎手 R・ファーヘイ厩舎)1分12秒85

2着 フレーミングリブ 1馬身4分の1

3着 フロタス 半馬身

3歳限定の短距離戦は1番人気に推されたパーフェクトパワーが混戦を制して優勝しました。パーフェクトパワーは、デインヒル系種牡馬のアーダッドの初年度産駒。昨年もロイヤルアスコット開催のG2ノーフォークSを制し、その後、G1モルニー賞とG1ミドルパークSにも勝っています。今年は2戦目にG1英2000ギニーに挑みましたが、マイル戦は長かったかコロエバスに6馬身4分の1差の7着に敗れました。次走は3歳・古馬混合戦となる7月9日のジュライC(G1、芝1200メートル、ニューマーケット)。勝てば最優秀スプリンターが見えてきます。


◆コロネーションステークス(6月17日、G1、芝1590メートル、良、12頭)

優勝 インスパイラル(L・デットーリ騎手 J&T・ゴスデン厩舎)1分39秒20

2着 スペンダレラ 4馬身4分の3

3着 ディスカバリーズ 短頭差

今年のロイヤルアスコット開催の白眉となりました。昨年、デビューから4連勝でカルティエ賞の最優秀2歳牝馬に輝いたインスパイラルが、ものの違いをみせつけて優勝。2着のスペンダレラに4馬身4分の3をつけました。G1英1000ギニー馬カシェイは5着、昨年のG1ブリーダーズCジュベナイルフィリーズターフに勝った米国馬ピッツァビアンカは8着、G1仏1000ギニー優勝のマングスティーヌは9着に終わっています。インスパイラルは父が“怪物”フランケル、母は2012年のコロネーションSで2着したスタースコープ。これまでのフランケルの牝馬産駒で1、2を争う大物と言えそうです。ゴスデン調教師は下半期、中距離路線に矛先を向ける可能性があることを明らかにしていて、7月8日のファルマスS(G1、芝1600メートル、ニューマーケット)から28日のナッソーS(G1、芝2000メートル、グッドウッド)というローテーションが有力視されています。


◆プラチナジュビリーステークス(6月18日、G1、芝1200メートル、良、24頭)

優勝 ネイヴァルクラウン(J・ドイル騎手 C・アップルビー厩舎)1分12秒17

2着 クリエイティブフォース 首差

3着 アルトーリアス 半馬身

ロイヤルアスコット開催の掉尾(とうび)を飾ったプラチナジュビリーSは“ゴドルフィン”が送った伏兵ネイヴァルクラウンが、ゴール前で鋭く伸びて優勝しました。2着に昨年のG1英チャンピオンズスプリントSの覇者クリエイティブフォース。勝ったネイヴァルクラウンは今シーズン好調なドバウィを父に持つ4歳牡馬。本馬はバリバリのスプリンターですが、近親には3000メートル以上の重賞に2勝して、種牡馬になったワリード(父サドラーズウェルズ)がいます。通算成績は15戦4勝で、重賞勝ちは今年1月のアルファヒィディフォートに続き2勝目となりました。次走は3歳馬パーフェクトパワーと同じ7月10日のG1ジュライCの予定です。


(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは6月23日現在

G2ハードウィックSを逃げ切ったブルーム。キーファーズの勝負服です(撮影・三原充史)
G2ハードウィックSを逃げ切ったブルーム。キーファーズの勝負服です(撮影・三原充史)