3歳と古馬のトップが激突する英国のG1エクリプスS(サンダウン、芝1990メートル)が2日土曜に近づきました。

エクリプスSは、英ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの間に位置する歴史ある重賞。過去の勝ち馬にはミルリーフ、サドラーズウェルズ、ダンシングブレーヴ、シーザスターズ、ゴールデンホーン、エネイブルなど欧州名馬がキラ星のごとく名を連ねています。

レースの負担重量は4歳以上の牡馬・せん馬が61キロ、3歳の牡馬・せん馬は56・5キロ。牝馬はそれぞれ1・5キロ減ポンド減。古馬に厳しく、3歳馬に有利な設定です。ここ10年は5歳馬が4勝、4歳馬2勝。3歳馬は15年のゴールデンホーン、16年のホークビル、18年のロアリングライオン、そして昨年のセントマークスバシリカの4勝。ゴールデンホーン(英ダービー優勝)、ロアリングライオン(英ダービー3着)、セントマークスバシリカ(仏2000ギニー、仏ダービー)の3頭は、後に年度代表馬に選出されています。

今年は6頭立てになりました。見どころは3歳を代表して参戦するヴァデニ(牡、父チャーチル、仏J・C・ルジェ厩舎)とネイティブトレイル(牡、父オアシスドリーム、英C・アップルビー厩舎)のレースぶりでしょう。これに対抗する古馬陣も例年に増して層が厚く、ロイヤルアスコットのG1プリンスオブウェールズS2着と人気を裏切る結果となったベイブリッジ(牡4、父ニューベイ、英M・スタウト厩舎)を筆頭に、昨年の3着馬ミシュリフ(牡5、父メイクビリーヴ、英J&T・ゴスデン厩舎)、G1タタソールズゴールドCの優勝から直行するアレンカー(牡4、父アドラーフルク、英W・ハガス厩舎)、プリンスオブウェールズS(5着)ではゲートで目隠しの頭巾が外れないアクシデントがあったロードノース(せん6、父ドバウィ、英J&T・ゴスデン厩舎)と、ひと癖ある馬が参戦を予定しています。

断然の1番人気になっているヴァデニは6月5日のG1仏ダービーの勝ち馬。当初ここに参戦する予定はありませんでしたが、あまりに体調が良いため5万ポンド(約830万円)の追加登録料を支払って勝負に出ました。仏ダービーでは仏2000ギニー馬のモダンゲームズを3着に退けています。英国遠征、古馬との対戦はともにこれが初めてですが、9月10日のG1愛チャンピオンS(レパーズタウン、芝2000メートル)、もしかしたら、その先の凱旋門賞につなげるためにも負けられないところでしょう。

2番人気のネイティブトレイルは昨年の全欧2歳牡馬チャンピオン。今年は4月のG3クレイヴンSに優勝、5月のG1英2000ギニーは僚馬コロエバスに3/4馬身差の2着でしたが、G1愛2000ギニーを制しています。実力が拮抗(きっこう)する僚馬コロエバスは、ロイヤルアスコットでG1セントジェームスパレスSを制していて、この世代のレベルの高さを証明しました。ネイティブトレイルの血統はマイラーのそれで、距離の克服が最大の鍵となりそうです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績は7月1日現在

春の戦利品。転売はしません(笑い)
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