244回目の英国ダービーが3日土曜日にエプソムダウンズ競馬場で行われます。

今年のダービーは14頭立てになりました。ダービー最多勝のエイダン・オブライエン厩舎は1番人気が予想されるオーギュストロダン(牡、父ディープインパクト)を筆頭に今シーズンに入って2連勝で臨むサンアントニオ(牡、父ドバウィ)、前哨戦のG3チェスターヴァーズで2着したアデレードリバー(牡、父オーストラリア)の3頭を出走させます。主戦のライアン・ムーア騎手は、もちろんオーギュストロダンに騎乗。3度目のダービー制覇に挑みます。

オーギュストロダンは今季の初戦となったG1英2000ギニー(芝直線1600メートル、ニューマーケット)で12着に惨敗。出ばなをくじかれる格好になりましたが、これはチャールズ新国王の戴冠式と日程がかぶったが故の慣れない前日輸送(現地時間午後1時30分発走となった今年の英ダービーも、前日輸送となるが、厩舎は帯同するスタッフを増やして対応)や、後手後手になる結果を招いた道中の位置取りの悪さなど、いくつかの悪条件が重なってのもの。昨年10月に“英ダービーへの登竜門”という位置づけのG1フューチュリティトロフィーS(芝1600メートル、ドンカスター)に勝った後は、最初の英2000ギニーさえ無事突破出来れば…という条件付きで3冠有力候補となったことなどを考えると、英ダービーこそ真価を問われる一戦となりそうです。

近年のダービーは18年マサー(6番人気)、19年アンソニーヴァンダイク(4番人気)、20年サーペンタイン(8番人気)、21年アダイヤー(7番人気)と伏兵台頭の流れにありましたが、昨年、デザートクラウンが、しっかりと1番人気に応えてくれたことで、潮目も変わりました。

ディープインパクト産駒として、初めて英ダービーに登場したサクソンウォリアーはマサーの4着と期待を裏切りました。しかし、不敗で英2000ギニーを制したサクソンウォリアーは、マイルから中距離が向いた馬だったようです。一方、オーギュストロダンは、母ロードデントロンがG1オペラ賞(芝2000メートル)の勝ち馬で、その全妹のマジカルは芝2000メートルから2400メートルのG1に7勝した名牝。性別は異なるものの、G1英オークス(芝2410メートル)を16馬身の大差で飾り、G1愛オークス(芝2400メートル)も連勝したスノーフォールに似たタイプではないでしょうか。

オーギュストロダンの最大のライバルは年をまたいで3連勝(4戦3勝)で臨む“ゴドルフィン”のミリタリーオーダー(牡、父フランケル)です。一昨年のダービー馬アダイヤーを全兄に持つ良血で、馬場悪化で急きょオールウエザートラックに変更されたダービートライアルS(AW2000メートル、リングフィールド)を強い内容で勝ちました。一線級との対戦はこれが初めてになりますが、兄と同様の勝負根性は光っています。兄弟制覇がなれば、1896年のパーシモンと1900年のダイヤモンドジュビリー以来、123年ぶりの快挙になるそうです。鞍上はゴドルフィンの主戦で、マサーでダービーを制したウィリアム・ビュイック騎手です。

キャリア2戦で挑むパッセンジャー(牡、父ユリシーズ)は1勝馬ながら、英ダービー6勝のマイケル・スタウト師が、8万5000ポンド(約1500万円)もの追加登録料を支払っての参戦。鞍上は昨年、デザートクラウンで優勝したリチャード・キングスコート騎手になりました。

今年いっぱいの引退が発表されていて、これが最後のダービー出走となるランフランコ・デットーリ騎手の乗るアレスト(牡、フランケル)は芝2500メートルのG3チェスターヴァーズを6馬身半差で制しました。この馬は馬場がソフトな方がいいタイプで、当日予想される硬い馬場で真価が問われます。

ダービートライアルSで2着したワイピーロ(牡、父オーストラリア)は、香港ダービーの2着馬で日本でもおなじみのワイククの半弟。先月のG1英1000ギニーをマウジュで制したオイシン・マーフィー騎手は、G2ダンテS(芝2100メートル、ヨーク)の勝ち馬のザフォクシーズ(牡、父チャーチル)で初のダービー制覇を狙います。

発走予定時刻は日本時間土曜午後9時30分。ライブ映像はグリーンチャンネルで見られます。


(ターフライター奥野庸介)

※成績などは6月1日現在


<次回更新は6月16日の予定>

フルゲート18頭が並びました~
フルゲート18頭が並びました~