2冠制覇へ、頼もしい鞍上が駆けつけた。牝馬クラシック第2弾オークス(G1、芝2400メートル、22日=東京)に出走する桜花賞馬スターズオンアース(高柳瑞)の追い切りが18日美浦トレセンで行われ、初コンビを組むC・ルメール騎手(42)が好感触を得た。叔母、祖母で日、仏のオークスを制した縁の深い血統。初騎乗でも能力をフルに引き出し、栄冠を手に入れる。

この日の調教で初めてまたがったはずの桜花賞馬。それでも、ルメール騎手はスターズオンアースの背中に懐かしい感触を感じ取っていた。同馬の叔母ソウルスターリングは17年オークス馬、祖母のスタセリタは09年仏オークス馬。どちらも自らの手綱で3歳春に同世代牝馬の頂点に導いた。縁の深い血統だ。「ソウルスターリング、スタセリタでもオークスを勝つことができたし、この家族はオークスが好き。ストライドが大きいところは(2頭に)似ているし、すごくきれい。おとなしい馬だしオークス向きですね」。ファミリーの背を知る鞍上は、かつての名牝と重なる部分を把握。タフな東京2400メートルの舞台適性に太鼓判を押した。

初コンタクトとなった追い切りでは先行したパートナーを直線で楽に抜き去った。「すごくいい追い切りをしてくれましたね。2番手で冷静に走れていたし、手応えもすごく良かった。今がベスト。これでフルパワーになった。1頭で抜けた時も走りたがっていたし、追い切りでは真っすぐ走れていた」と笑顔。もたれる面や1頭でフワフワする面がないことも確認し「勝つ自信があります」と得意のフレーズも飛び出した。

桜花賞で騎乗した川田騎手がアートハウスに騎乗するため、急きょ回ってきたバトンではある。ただ、これまで何度も初騎乗馬を勝利に導いてきた名手の手腕は陣営にとって頼もしいはず。ルメール騎手自身は今年ここまでJRA重賞未勝利と苦戦のイメージがあるが、2月のサウジアラビア遠征では1日重賞4勝の大爆発。うち3頭はテン乗りもしくは久々のコンビ復活だった。パートナーの特徴を瞬時につかみ、臨機応変に対応する実力はさすが。桜花賞馬への初騎乗が素晴らしい化学反応を引き起こすか? 今週末のルメールマジックにご注目あれ。【井上力心】

◆ルメール騎手のテン乗りG1勝利 JRA・G1全40勝のうち、8勝が初騎乗(テン乗り)で挙げたもの。17年秋華賞ディアドラ(3番人気)、18年菊花賞フィエールマン(7番人気)、19年皐月賞サートゥルナーリア(1番人気)、20年エリザベス女王杯ラッキーライラック(1番人気)、21年宝塚記念クロノジェネシス(1番人気)と現在、5年連続でテン乗りG1優勝がある。今年もそろそろ…。

◆桜花賞馬が異なる騎手でオークスに出走した例 過去に7頭いて【2 2 1 2】。84年のグレード制導入後は3例あり、岩田康騎手が騎乗停止のため乗り替わった12年ジェンティルドンナはテン乗りの川田騎手で2冠を達成した。99年プリモディーネは福永騎手がけがのため藤田伸二騎手に乗り替わり3着。13年アユサンは桜花賞前日の落馬負傷でC・デムーロ騎手に手綱を譲った丸山騎手に戻り4着だった。異なる騎手での桜花賞&樫2冠制覇は前述のジェンティルドンナと、52年スウヰイスー(桜=保田隆芳、樫=八木沢勝美)だけ。