牝馬3冠アーモンドアイ、アパパネなどを育て上げた名門・国枝厩舎が悲願のダービー制覇へ-。評判の高いダノンザタイガー(牡、父ハーツクライ)が、12日(日)の東京芝1800メートルでデビューする。20年セレクトセール当歳馬部門では2億7000万円(税抜き)で高額落札された。注目の期待馬がいよいよベールを脱ぐ。

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厩舎、オーナー悲願のダービー制覇を目指してダノンザタイガーが初陣を迎える。父は今年のダービー馬ドウデュースと同じハーツクライ、米G1・1勝の母シーズアタイガーは13年に米最優秀2歳牝馬に選出された。冠名「ダノン」でおなじみのダノックスが2億7000万円を投じて競り落とし、育成先の牧場でも評価は高かった。国枝師は「当然オーナーにもダービーを目指して買ってもらっているわけだし、そこを目指すことになる。その期待に応えられるように頑張らないといけない」と気を引き締める。

7日朝は角馬場から坂路を1本。手足が長く全体的にスタイリッシュな馬体を余すことなく使い、推進力十分のフットワークで駆け上がった。師は「いつも通り。いい感じだよ。余裕があるし雰囲気がいいよね。(3週前追い切りに騎乗した)川田騎手も『いいですね』という話をしてくれた。5月から乗って十分やってきているし、トータルで順調にきている」と手応えを口にする。入厩後から週2本の時計を出し、1週前追い切りは美浦ウッド5ハロン65秒4-11秒9の好時計をマーク。着々と態勢は整いつつある。

半姉のシーズアメジャーとタイガーオーキッドの2頭も国枝厩舎に所属したが、体質の弱さなどがありデビューできなかった。「(お姉さんたちは)残念ながらねえ…。この馬は健康面でも懸念材料はない」と姉たちの思いも背負う。「距離は長めがいいと思うし東京が一番合いそう」とダービーへの適性も見込む。名門厩舎の大物候補が、来春の大舞台へキャリアをスタートさせる。【井上力心】

◆国枝厩舎のダービー 90年の開業から8頭を出走させた。初出走は03年のマイネルソロモン(18着)。最高着順は18年の16番人気コズミックフォースの3着。昨年は牝馬サトノレイナスで挑み、2番人気で5着に敗れた。